※結婚式前夜です
つくし視点。
とうとう……明日はあたしと司の結婚式。
お腹に赤ちゃんが居ると分かってから
初めて公の場に出る。
心配していた悪阻は思ったよりも
軽くて体調は落ち着いている。
明日式が終われば司はすぐに
明日式が終われば司はすぐに
NYに行ってしまう。
本当は離れ離れになんてなりたくない。
本当は離れ離れになんてなりたくない。
やっと会えたんだし結婚するんだから
同じ家に住んで生活したい。
でも、離れて暮らすことを
選んだのはあたしだから。
でも、離れて暮らすことを
選んだのはあたしだから。
主の居なくなるこのお邸を
あたしが守るって決めたから!
司の代わりにお義母さまが
日本に残って下さるそう。
あたしにホテルの仕事を
覚えてもらいたいからっていう
きちんとした理由もある。
司は今は安静にしていろって
反対していたけれど。
意外にも仕事をさせてくれるように
計らって下さったのはお義母さま。
ずっと仕事をしてきたあたしに
ジッとしていろって言うのは
残酷だからって気持ちを
代弁して下さった。
あたしは働くのが好きだし家の中で
おとなしくなんて出来そうに無い。
だからお義母さんの申し出は
本当にありがたかった。
籠の鳥にはなりたくなかったから。
司とお義母さんの仲は昔ほど
険悪ではなくなっていた。
だからなのか司はすぐに納得して
留守中のあたしのことを頼みますって
頭を下げてくれた。
NYのオフィスの方は椿お姉さんの
だんな様がしばらく司のサポートに
ついてくださるそう。
メープルは姉さんが代理を務めて
下さるみたい。
あたしのせいで急な異動になってしまったにもかかわらず快く引き受けてくれて
恐縮するあたしに家族なんだから
助け合うこともあっていいんじゃないか
とも助言してくださった。
お義姉さんにはここだけの話として
お義母さんから頭を下げられた時に
きかされた。
吃驚したなんてもんじゃなかった。
お義母さんが本当は思いやりの
気持ちに満ちていて温かい懐の
持ち主だってことは一緒に過ごしていて
あたしが一番に感じたことだった。
昔、感じたような怖さとかは
全く感じなかった。
もちろん、ビジネスに関することの
厳しさは想像以上だったけれど。
司と再び離れ離れになることの
不安は微塵も無かった。
あたしは独りじゃないって思えるから。
夕食の後、あたしは1人
お義母さんに呼ばれた。
心配そうに見つめる司に大丈夫だからと
視線を送ると秘書の西田さんに
案内されてこのお邸の衣裳部屋へと
連れてこられた。
入りなさいと声が聞こえてあたしが
その部屋に入っていくと奥の
応接セットの前にお義母さんは
静かに座っていた。
お掛けなさいといわれて目の前の
ソファーに腰を下ろした。
これを見なさいといわれて目の前に
かけられているドレスを眺める。
「この衣装は、私のお腹に椿がいた
ときに作ったドレスです。その右のは
司のときのです。もう着ることはないので
貴女に差し上げます。サイズは
司のときのです。もう着ることはないので
貴女に差し上げます。サイズは
貴女用にきちんと直してあります。
デザインも少し変えました」
それからと出してきたビロードの箱。
大事そうに両手に包んで持ってくると
あたしの目の前に差し出した。
「これは代々の長男の嫁が姑から
受け継いできたものよ。私も夫の
母から受け継ぎました。今度は
貴女の番です。大切にしなさい。」
そういわれて箱を開けてみると
ティアラ、イヤリング、ネックレス、
指輪が入っていた。
同じデザインで特注したものらしかった。
これを渡されたということは
あたしはこの家に嫁ぐことを
正式に認められたって…こと?
見終えた瞬間に涙がこぼれた。
本当にただ……嬉しかったの。
「……過去のあなたに対しての愚かな
行いは本当に悔いているのよ
許して欲しいとは言いません。
ただ何も知らない子供だった
貴女に対して申し訳ないことをしたと
思っています。それなのにあなたは
司を救ってくれた。
本当に心から感謝しています。
本当に心から感謝しています。
これからも司をよろしくお願いします。」
そう、あたしに頭を下げる。
「いいえ、頭を上げてください
司さんをこの世に生み出して下さったこと
あたしもお義母さんには感謝しています。
そう、あたしに頭を下げる。
「いいえ、頭を上げてください
司さんをこの世に生み出して下さったこと
あたしもお義母さんには感謝しています。
あの時反対されなかったらあたしは
きっと何かを手に入れるために
努力するなんてこと知らなかったし
無かったと思います」
大好きな人のお母さんだから
あたしも好きになりたい、
いつか心を通わせられたらって
いつも思っていた。
「……お姉さんに今度のご配慮こと
大好きな人のお母さんだから
あたしも好きになりたい、
いつか心を通わせられたらって
いつも思っていた。
「……お姉さんに今度のご配慮こと
お聞き致しました
本当にありがとうございます。
あたしはまだまだ未熟者で
役に立たないかもしれないけど
きちんと勉強します。これからは
本当にありがとうございます。
あたしはまだまだ未熟者で
役に立たないかもしれないけど
きちんと勉強します。これからは
娘としてご指導ご鞭撻のほど
よろしくお願いします。」
逆にあたしは頭を下げる。
逆にあたしは頭を下げる。
この人にこんな風に頭を下げることは
なかったと思う。
でも素直にそうしたいと思えたんだ。
「……あなたの勇姿、主人にも
見せたかったわね……あの人亡くなる
間際まで貴女に会いたいって
ずっと言っていたのよ?」
そういって寂しそうに微笑む。
司のお父さんがあたしに?
会ったことは一度もないけれど
写真で見たその人は笑顔の
素敵な優しそうな人だった。
「……あたしもお会いしたかったです」
お義母さんの寂しそうな微笑を見て
あたしはそう答えるしか出来なかった。
逢いたいといってくださっただけで
充分だって思ったから。
「さあ、もうお休みなさい
花嫁の朝は早いのですよ?
お腹の子供にも差し支えます。
西田、近くに居るのでしょう?
つくしさんを部屋まで送って
いきなさい。」
お義母さんは一瞬光った涙を指で
お義母さんは一瞬光った涙を指で
拭うと部屋の外に待機している
西田さんを呼んだ。
あたしは貰った箱を大切に抱え
ここに来たときと同じように
西田さんの後について司の居る
東の角部屋に戻った。
あたしは西田さんにお礼を言って
頭を下げると部屋の中に入った。
するとソファーの上で
うつらうつらしてる司が居た。
あたしは貰った箱を大切に抱え
ここに来たときと同じように
西田さんの後について司の居る
東の角部屋に戻った。
あたしは西田さんにお礼を言って
頭を下げると部屋の中に入った。
するとソファーの上で
うつらうつらしてる司が居た。
その姿を見て疲れてるんだなと思う。
でも……この嬉しさを報告できるのは
司しかいないから伝えずにはられなかった。
あたしは大切なものが入った箱を
デスクの上に置き司の背後に回る。
後ろから抱きついて頬にキスをした。
「うをっ!な……なんだよっ
戻ってきたなら先に声くらい
かけろよなっ!」
キスした瞬間に飛び起きた司の
慌てた顔がおかしくて思わず
吹き出した。
「……ただいま、司。」
「おかえり、なんだった?お袋の話」
司はあたしが何か言われたんじゃないかと気が気でないらしい。
「ううん、アンタのことこれからも
よろしくだってそれから
アレ……戴いたの。
明日・・・付けようって思って。
キスした瞬間に飛び起きた司の
慌てた顔がおかしくて思わず
吹き出した。
「……ただいま、司。」
「おかえり、なんだった?お袋の話」
司はあたしが何か言われたんじゃないかと気が気でないらしい。
「ううん、アンタのことこれからも
よろしくだってそれから
アレ……戴いたの。
明日・・・付けようって思って。
ドレスもねマタニティ用のを戴いたの。
お義姉さんやアンタがお腹にいたときに
着ていた物を下さったのよ」
あたしが伝えるとそうか・・・と頷いた。
頷いて聞いてくれる司に向かって
あたしは話し続ける。
「あたし……お義母さんとなら
やっていけそうだよ。だって
アンタにそっくりだもん。
口下手で上手く人に気持ちを
伝えられないところとか本当は
すごく照れ屋なところとか
それから本当はとっても思いやりの
心を持ってて気配りが上手なところとか」
それを聞いた司のこめかみに筋が浮く。
「ずっと敵対してきたけどさ。
本気で嫌いだって思ってた頃もあったし。
お義姉さんやアンタがお腹にいたときに
着ていた物を下さったのよ」
あたしが伝えるとそうか・・・と頷いた。
頷いて聞いてくれる司に向かって
あたしは話し続ける。
「あたし……お義母さんとなら
やっていけそうだよ。だって
アンタにそっくりだもん。
口下手で上手く人に気持ちを
伝えられないところとか本当は
すごく照れ屋なところとか
それから本当はとっても思いやりの
心を持ってて気配りが上手なところとか」
それを聞いた司のこめかみに筋が浮く。
「ずっと敵対してきたけどさ。
本気で嫌いだって思ってた頃もあったし。
でもあたしの大好きな人の
お母さんだもん。
あたしの本音は仲良くなりたい
あたしの本音は仲良くなりたい
……だったんだよ」
あたしが言うと振り向いた司の
青筋は引っ込んでて大きな
手の平があたしの頭を撫でる。
ソファを挟んで抱きしめられる。
「これからだろ?そんな辛気臭い
顔すんなってもう、休もうぜ。」
司はそういうとあたしの身体を
一旦離してソファから立ち上がって
あたしの居る方へ回ってきた。
屈んで膝の下に手を入れると
軽々と抱き上げられてしまった。
普段のあたしなら抵抗するのに
このときだけは目の前の司の
温もりが恋しくて離れることなく
首に手を回してぎゅっと抱きついた。
式が終わったら離れ離れになる。
行かないでって引き止めたい。
一緒について行きたい。
「なんだ、今日はずいぶん
甘えん坊だな?」
笑いながらあたしの額に口付ける。
「今晩はずっと一緒に居て?」
あたしも変だって思ってる。
ずっと司に触れていたいの。
甘えて縋っていたいの。
「……分かってるよ、一緒に寝ようぜ。」
そういって寝室にあたしを運び
ベッドの上にそっと降ろしてくれた。
あたしが言うと振り向いた司の
青筋は引っ込んでて大きな
手の平があたしの頭を撫でる。
ソファを挟んで抱きしめられる。
「これからだろ?そんな辛気臭い
顔すんなってもう、休もうぜ。」
司はそういうとあたしの身体を
一旦離してソファから立ち上がって
あたしの居る方へ回ってきた。
屈んで膝の下に手を入れると
軽々と抱き上げられてしまった。
普段のあたしなら抵抗するのに
このときだけは目の前の司の
温もりが恋しくて離れることなく
首に手を回してぎゅっと抱きついた。
式が終わったら離れ離れになる。
行かないでって引き止めたい。
一緒について行きたい。
「なんだ、今日はずいぶん
甘えん坊だな?」
笑いながらあたしの額に口付ける。
「今晩はずっと一緒に居て?」
あたしも変だって思ってる。
ずっと司に触れていたいの。
甘えて縋っていたいの。
「……分かってるよ、一緒に寝ようぜ。」
そういって寝室にあたしを運び
ベッドの上にそっと降ろしてくれた。
使用人さんに持ってきてもらった
パジャマに着替えさせてくれる。
あたしが横になった隣に司は
寄り添うように入ってくる。
あたしの頭の下に腕を出して乗っけると
ピタリと身体をくっつけてきた。
包み込むようにお腹に手を触れさせる。
そしてお休みのキス。
このキスも明日が終わればもう
しばらく無いんだと思うとぎゅっと
目の前の広い胸に抱きついてしまう。
あたし、大丈夫かな?
司と離れてやっていけるんだろうか?
淋しくて、淋しくて追いかけて
いってしまいそう。
「お前本当に今夜は可愛いな。」
司の声が耳元で囁かれる。
「お前が妊婦じゃなかったら
ぜってー襲ってるシチュエーション
なんだよな……」
その言葉にあたしの夢想は醒めた。
「アンタ、あたしが感動してるのに何よ、そのエロ親父みたいな発言は!」
あたしが抗議すると司は
その言葉にあたしの夢想は醒めた。
「アンタ、あたしが感動してるのに何よ、そのエロ親父みたいな発言は!」
あたしが抗議すると司は
意味ありげににやりと笑う。
「いいじゃんかよ、別に好きな女を
前にして抱きたいって思って何が悪い?」
拗ねたような口調になる司。
抱き合いながら喧嘩してる
あたしたちって一体。
「いいよ、抱いて。あたし
司の温もり覚えておきたいから。」
あたしが言うと司は首まで真っ赤になる。
自分からそういう誘いをすることに
照れや恥ずかしさは無かった。
戸惑う司にあたしは彼の唇を塞ぎ
迷いが無いことを伝える。
身体の奥に疼いていた想いが
形になって言葉に出た。
「……いいんだよ、こうしてるだけで
お前を俺に俺にお前を刻み付けるのは
明日の式の後だ。」
司はそういってあたしに身体を
密着させるとぎゅっと抱きしめた。
司はそういってあたしに身体を
密着させるとぎゅっと抱きしめた。
そのセリフにあたしの背中は
ゾクッとなる。
司はあたしを抱きしめたまま
あたしは司の腕に閉じ込められたまま
夢の世界に落ちていった。