GoodBye To Love 32話 | Lover's Concerto

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類は私の手を引いて廊下を進む。

握られた手は血の気が引いて
酷くひんやりしている。

大丈夫だと手を握り返すと
力無く握り返してくれた。

返された微笑みは酷く青白くて
緊張が顔に張り付いている。

……仕方ない。

「……類、こっち向いて?
それでちょっと屈んで?」

背の高い類に私の手が届くように
言う通りに屈んでくれた。

「つくし?」

「こっち向いて?」

類を私の方に向かせる。

両頬に手を当てて抑えるとそのまま
背伸びして類の唇にキスをする。

「……緊張しないおまじない」

廊下でキスなんてして誰かに
見られてたらどうするの?とか
思いながら夢中で類にキスをする。

「つくしのばか、いきなりなにすんだよ……」

照れながら抗議してくる類。

「解けた?」

コクリと頷く類。

頬を染めて通常に戻った。

「何言われても俺が守るから」

やっと見せてくれた笑顔は
やっぱりちょっと赤かった。



二人揃って リビングに入室する。
そこにはいつもの格好とは違う
お爺様と類のご両親と初めて見る
白髪のおばあさんが既に部屋へと
揃って私達を待っていた。

そのおばあさんはやはり類の
お父さまに似た面差しをしていて
親子だなあと感じられるような
容姿だった。

「つくしちゃんよく来たね
早く座るといい」

お爺様は私の身体の事を知ってるから
早く椅子に座れと促してくれた。

でも、類が座ってないのに
座るわけに行かず黙って彼を見る。

「座りなよ」

「じゃあ……」

類が椅子を引いてくれる。

素直に腰掛ける。

私が座ったのを見て類も席に着く。

座っても類はこっそり見えないように
私と手を繋いできた。

手の震え具合から類の不安が
なんとなく透けて見える。

黙って手を握り返すと安心したように
類は微笑んだ。

「牧野さんと仰いましたね?」

「はい、牧野つくしと申します
類さんとは高校と大学の先輩後輩の
仲でして交際させていただいていて
こちらのお屋敷でお世話になっています」

丁寧な口調で自己紹介をする。

「類は貴女を庇って事故に遭ったと
聞いておりますが……?」

「それは大変申し訳ないと思っています
私の不注意で申し訳ございませんでした
命を助けて頂き大変有難く思ってます」

「ちょっと待ってよ!
なんでその事でつくしだけを責めるの?
ちょっとおかしくないですか?」

私だけのせいだとでもいいたいのだろうか?

類が私を庇って声を上げる。

「俺が彼女を庇ったのは俺の意思です
もう済んだことで彼女を断罪するのは
やめて頂きたい」

「類さん、あなたはその怪我のせいで
後継者の仕事が遅れているそうですね
女にうつつを抜かして英雄気取りですか」

酷い、この人。
私のことなら何を言われてもいい。

私を守ってくれた類にそんな
暴言吐くなんて酷すぎる!

類は何も悪くないのになんなの?
この言い草は。

心の底からムカッときた私。

拳を握りしめて懸命に言葉を耐える。

私が懸命に暴言吐きそうなのを
堪えてる時それに口を出したのは
お祖父様だった、

「静枝さん、やめないか
また君は17年前と同じ過ちを
繰り返す気かね?」

グッと言葉につまるお祖母様。

「類が可愛いならそう言えばいい
孫なんだから可愛がってもバチは
当たりはせんよ」

「お母さん、類は彼女のおかげで
人間らしくなりました
感情も豊かでよく笑います
人を愛して成長できました
どうかつくしちゃんのことを
認めてください」

お父様とお祖父様の援護射撃に
胸が一杯になる。

「でも、類さんは彼女の記憶が
無いそうじゃありませんか」

それならば傷の浅いうちに別れては?

続く言葉に呆然としてみんな黙り込む。

「俺は!つくしの記憶があってもなくても
彼女枚外を結婚相手に選んだりしないよ!
結婚相手くらい自分で決める!」

「貴方には、生まれた時から決まってる
婚約者がいると言っても?」

私も類も言葉を失った。

類には生まれながらの
婚約者がいる?

そんなの初耳だ。

もしもそうなら類のご両親は
私と類の婚約を認めなかっただろう。

「知らないよ!そんなこと!
俺の婚約者はつくし1人だけだ!
今さら他の人なんて要らないよ!」

行こう!と言って類は席を立つ。

私の手を引いて部屋から飛び出した。




「類!待って!走っちゃダメっ!」

案の定、部屋に戻る途中の廊下で
類は見事にすっ転んだ。

「……大丈夫?」

「うん」

類の身体を助け起こす。

「走っちゃダメって言ったじゃない?
怪我酷くなったらどうするの?」

「だから会うの嫌だったんだ
あの人はいつも俺を否定する
つくしのこともあんなに酷く言って!」

嘆く類を黙って抱きしめる。

「私、嬉しかったよ?お祖父様も
お父様も私のこと認めてくれて」

今日、お母様が途中で退席したのは
このことがあるから?

もしかしたらお母様はあの話の席に
同席させて貰えなかったのでは?

だってこの家に事故後強行に
同居を決めたのはお母様だもの。

もしかしてその事で一方的に
叱責されてたのでは?

あの話し合いの後から
姿の見えないお母様が気になる。

「類、私は……何があっても類に
着いてくから、別れないよ、絶対!
私と結婚するんでしょ?」

「うん」

精一杯に笑顔を作って笑ってみせる。

私はこの時、嫌な予感がしていた。

こういう時の勘は十中八九当たるもの。

類に、おば様に何も無いと
良いんだけど?

どうか何も起きませんように。