今年、メディアに取り上げて有名になったハーバードビジネススクールの研究で、ワーキングマザーの子供は大人になってから社会により適合しているというものがあります。

ハーバードによる発表はここで読めます(英語)。

研究対象となった24の国すべてで、ワーキングマザーの子供は、専業主婦の子供に比べて、大人になってから自分も働く確率が、部下のある地位についている確率、高収入である確率が高いそうです。

日本も研究対象の国に入っていて、男女平等に関しては「停滞気味の中道」という国の中にカテゴライズされています。

各国のカテゴリーは以下の通り。
自由な平等主義
デンマーク、フィンランド、ノルウェイ、スウェーデン、フランス、ドイツ、スロベニア
停滞気味の中道
イスラエル、アメリカ、イギリス、スペイン、オーストラリア、チェコ、ポーランド、スロバキア、スイス、オーストリア、日本、台湾
停滞気味の保守
チリ、ラトヴィア、メキシコ、フィリピン、ロシア

これらの国で、子供が0から14歳の間に母親がパートタイムまたはフルタイムで働いていた女性は、専業主婦に育てられた女性に比べて、責任のあるポジションにいる確率が高く、年収も高いそうです。男性に関しては母親の仕事は無関係らしいですが、ワーキングマザーに育てられた男性は、より多く家事をして家庭に参加する傾向にあるそうです。

面白いのが、ワーキングマザーに育てられた女性は、子供ができてから子供と一緒に過ごす時間が、専業主婦に育てられた女性より多くなるそうです。

研究者は、身近に母親という仕事と家庭を両立しているロールモデルがいたというのが、主な理由ではないかと書いています。

実は私の母親もワーキングマザーで、しかも60過ぎてから起業して成功したという人なのですが、確かにそういう人が身近にいるというのは大きいと思います。私の場合は、親が働きだしたのは小学生になったときなので、寂しいという気持ちはほとんどありませんでした。ただ、土日休みではなかったので、家族で遊びに行った思い出が極端に少なく、今でも家族はあまり仲良くありません。そんなわけで、私は休みのたみに子供と一緒に何かを体験するというのを非常に重視しています。

さて、この研究がニュース番組で取り上げられたとき、私はたまたま出張中でした。朝、身支度をしながら聞き流していたテレビのニュースで流れてきたのです。思わず食いついて見てしまいましたが、ちょうど「何のために子供から離れてこんなとこまで来てんのかな」と思っていたところだったので、救われたと言いますか。

この研究が何故アメリカで大きく取り上げられたかというと、実際に私のように後ろ髪引かれて罪悪感を覚えながら仕事をしている女性がたくさんいるからだと思われます。特にアメリカは土地によっては非常に保守的なので、女性が外で働いて家庭を犠牲にするのをよしと思っていない人がたくさんおり、そういう思想をバックアップする研究もたくさんあるのです。たとえば、生後3ヶ月になる前に仕事に戻ったワーキングマザーの子供は、3歳代で問題行動を起こす、など。

ただ、私が今まで様々な文献を読んで分かった事は、乳幼児には信頼できる大人が必要であるが、それが母親でなければならないことはない。父親でも、祖父母でも、信頼できる子守でもいいということです。そんな訳で、うちは週5日は夫とナニーさんがメインで子供を育て、週末は家族で子供とたっぷり遊ぶというスタイルに落ち着いています。そして、できるだけ一緒に旅行も含め色々な所に行き、実体験を通して脳のニューロンを増やしていくとともに、家族の絆を深めていけるよう努力しています。これでいいのかどうかは、子供が大きくなるまでは分かりませんが。