「ねぇ、俺以外と遊ばないでよ」

いつもの月曜日、部屋で彼はわたしを抱きしめる。

優しくキスをされると、わたしはとろけてしまう。


エッチは嫌いじゃありませんでした。

彼が初めての相手でしたが、相性が良かったのかもしれません。

彼の様子になんだか違和感を感じたものの、キスが激しくなるころには何も考えられなくなっていました。


彼の方法はいつも決まっていて、


向かい合って座る。
見つめあう。
抱きしめてキスをする。
しながら、胸に触れる。

ゆっくりと、2人でベッドに倒れる。


「ぁ……」


わたしの口から小さく声が漏れると、彼は服を優しく脱がせてきます。

こうして甘く、気持ちのいい時間を過ごしていると、
些細な行き違いなんてどうでもいいやと思ってきてしまうのでした。





そんな中、わたしたちはデートで遊園地に行きました。

わたしは、久しぶりの遊園地でテンションがあがっていました。

「ねぇ、楽しいね、何から乗ろうか!」

「うん」

「あのジェットコースターがいいな、ねぇ行こうよ!」

「…そうだね」

「? どうしたの?楽しくないの?」

「楽しい……よ」

「ホント?じゃあなんでそんなテンション低いの」

「…」

「せっかく来たんだからさ、もっと楽しも…」



「お前はいいよなァ!!」


周りの人がいっせいに振り向くような大きな声で、彼はわたしにそう怒鳴りつけました。

「……え……」

「いつもバイトの話とか楽しそうでさぁ!!
自慢ばっかりだよな!!」


「何言ってんの、ねぇ、少し落ち着いて……」

「うるせぇよ!!」

「!! なによ!!だから今日、こうやって2人で遊んでるじゃん!!
ちゃんと時間作ってるじゃん!」

「お前はいいよな…俺と違ってバイトができて楽しそうでさ…」


そう言われてしまうと、わたしは何も言い返せなくなってしまいます。


彼は、心の病気にかかってしまっていたのでした。



周りの人の視線がチクリチクリと突き刺さります。

それに耐えかねて、わたしは言いました。


「…帰ろっか…」


もう普通のデートも出来ないんだ。

わたしはすっかり疲れきってしまっていました。


気付けば、付き合って一年と少し。

デートはもっぱら彼の家。

することと言えば、DVD鑑賞のあとエッチ。


毎週毎週、時には週に2日会ったりもしましたが、このルーチンワークが崩れることはまれでした。


理由は2つ。

バイトをやめた彼にデート資金がないことと、

彼がわたしを独り占めしたがったこと。


彼はわたしが彼以外のことを考えるのを、極端に嫌いました。


「俺より友達と会う方が楽しいの?」

「まだバイトやめてないの?なんで?」

「バイトの話楽しそうにすんなよ。自慢?」

「なんでこの日会えないの?」

「なんでメールに返事ないの?」



彼の束縛と心の闇は、ゆっくりと、けれど着実に広がって行きました。

そしてそれは、彼の心を静かに破壊し始めました。
こんばんは。

毎日更新したいなんて言ってたのはどの口でしょうか。

まったりひっそり繋いで行きます(笑)



さて。
恋愛を振り返るあらすじ編、まずは初彼についてです。

初めての彼氏が出来たのは大学1年生のとき。

同じ学科の先輩。
年はふたつ上で、色々と話しているうちに先輩から付き合って欲しいと言われました。


優しくしてくれた彼に対して、図々しくもわたしは
「ああ、彼氏ってこういうものなのかー」
と愛を与えられるのは当然、と思い込んでしまいました。


愛される恋愛に初めて触ってしまった、またそれに慣れてしまったことが、

わたしの恋愛史最大のミスを招きます。


それについてはおいおいお話するとして。



この初彼の事を、便宜上A君と名付けましょう。


A君は、やきもち焼きでした。

ラブラブなころはそれも嬉しいものです。

ですが、付き合い初めて1年くらいたったころ、A君のやきもちに「異常」の片鱗が見え始めます。



「バイトをやめて欲しいんだけど」


彼のその一言に、わたしは耳を疑いました。

「え?」
「俺もやめたからさ、バイト。
ペケもやめて」


そう言って無言でわたしを抱きしめる彼に、わたしの背筋にスッと冷たい風が吹いたようでした。