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【工業製品】
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俺のような小さな自転車屋では想像もつかないくらいに大量の製品を世に送り出すのがメーカーという物。
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膨大な人件費と多くの時間を割いて作り出される商品に悪いものなどあるわけが無い。
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ただ、そこは工業製品という良い意味でも悪い意味でもその枠は飛び越える事は無い。
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自分の取り扱ってるブランドはやはり憧れから始まっている。
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発送されたその美しい部品を眺めては磨き…取り付ける自転車との組み合わせを想像しながらニヤニヤする。
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ようやく取り付け走り出して、やっぱり似合うじゃん。
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俺はこの部品を買う為に頑張ってきた‼️と自分にご褒美女子のブランド品のように浸る…
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取り付けてみて…あれ?なんか少しぎこちないなぁ…と多少の事だが指先に伝わる感覚に疑問を覚えた。
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自転車部品界のデアファニーのような存在のこの逸品にもやはり工業製品という名から逃れられない。
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さてさてと分解して…ほうほう…更に中まで開けてみて…はいこれね…
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グリスが煮凝りのようになっていた。
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製造年月日が記載されている訳でも無いし、ましてや真冬でも無いのにこのグリスの塊は何だろう?と疑問に思うが…
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そこは自転車屋の仕事だ。
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徹底的に洗浄しアルティメットなケミカルに変えてしまえば良いだけの話。
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メーカーはあくまでもメーカー。
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自転車屋はメーカーとお客様を繋げる役割。
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気付かない人は一生気付く事ない事だと思うが、半永久的に使いたいと思わせてくれるような逸品を決して安くはない部品にお金を払ってくれて取り付けたのだから…
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そんな【想い】という事を感じてしまうのでどうやら自分は自転車屋に向いてないのかもしれない。
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どの街にもあるGoogleマップでの口コミをたまたま目にしたときに、すごい事が書いてあったのを思い出した。
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「自転車を購入したら何日か経ってクランク周りから異音がしました、ヘッドパーツやクランク周りを点検しないで出しているのかもしれませんね」などというユーザーからのコメントにもう既に俺からしたら自転車屋になった方が良いんじゃない?くらいの専門用語を使われているのを見た時に、それでもそんな点検をしないでお客様に自転車を出してしまう方が自転車向きなんだろうなぁと感服しました。
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ここまで書いてきてお分かりの通り、相手にする数が違うとヒューマンエラーも出るのが工業製品、ただ面と向かい、この町で自転車屋をしていく事に対して、少しでもエラーやミスを潰したいと思うのが…仕事というものでは無いのだろうか…
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そんな事を考えながら油を刺し組み立てる。
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ブレーキと言えば、命にダイレクトに関わる箇所なので、いやいや他の部品もですけどね…
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ちょっとでも【⁉️】と思ったら是非持って来てくださいね。
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世の中には自分からしたら【高額】だと思えるものでも、世の中の尺度で見たら実は【そんな物】という見方もあるという事。
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ましてや工業製品ならば、一度は自転車屋の手の中を通りその冷たい金属の塊に温もりが宿ってくれたら…
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その部品の価値はお値段よりも価値があると俺は考えます。
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#paulcomponents #cakebikes #自転車