この日、私は人生2度目となる最終面接に向かっていた。
今日最終面接を行うのは、ブチギレディスカッションなどの思い出がある塾業界の企業である。
※ブチギレディスカッションについては3月23日の日記を参照してください。
さて、前回デザイン系の企業の最終面接では、緊張のあまり気持ちが空回りして悲惨な結末を迎えたが、今回の私は経験値を得ているという点で成長をしている。
この日、さすがに緊張はしていたが、会社のトップ層相手にはどのようなテンション感で臨むべきか、何を伝えるべきかということは頭の中で明確になっていた。
この日は定刻に受付に辿り着き、前回と同様、待機室に案内された。
待機室の奥は会議スペースとなっており、おそらくこの企業への転職希望者が面談を行っていたが、この転職希望者は塾業界内での転職を希望しており、その理由は「塾業界がブラックすぎるから」らしい。
だったら塾業界以外に転職しろよ…と思っているうちに、私の名前が呼ばれた。
今回私を面談が行われる会議室に案内したのは、前回私と面談を行った人事部長っぽい人である。
今日は社長とこの人事部長との2対1の面談になると言われた。
それではノックして入室してください、と告げられ、1回深呼吸してから3回ノックして入室。
中にはいかにも社長ですという風貌の社長がムスッとした表情で待っていた。
私が入室すると、表情は朗らかになり、「今日は遠いところありがとう、まあ座って」と温和な口調で言われた。
そこから約20分間、社長が企業の変遷と教育についての想いを静かに語り続けた。
その合間に私がしたことは相槌くらいである。
会話を遮るのも躊躇するほど社長はペラペラと話し続けていた。
話を聞き続けること20分、社長が「おっと、喋りすぎてしまったね。私の悪い癖でね。和田くんはうちが第一希望なの?」と聞かれた。
私は「はい。もちろんです。」と即答。当然嘘である。
社長は、「そうか、それは良かった。そしたら今後、是非ともよろしくね」と立ち上がって握手を求めてきた。
私はすぐに立ち上がり、両手で握手を行った。
人事部長が「それでは本日の面接は終了です」と告げ、社長は退室していった。
そのまま私も人事部長に入口まで案内され、帰路に就いた。
今回の面接は今までのものと比べると明らかに異質である。
なにせ私はほとんど話していない。
いわゆる、顔合わせ的な意味合いでの最終面接だったのだと納得して帰宅した。
後日、この面接の結果が届いた。
結果は不採用。
なんなんすかこれ。
あの熱い握手はなんだったのか、不採用の理由はなんだったのか、まるっきり謎なまま、またしても最終面接で敗退してしまったのである。
-----2024年5月8日の私より-----
後日、同じく塾業界の人と話をしましたが、おそらく私の性格が塾業界に合っていないからではないかと言われました。
正直で素直な人は、塾業界ではあまりうまくやっていけないと。
少し悪く言うと、ずる賢さのような能力が必要とのことです。
俺が人事部長でも和田は採用しないとのことでした。