この日は、「純粋でない」意味では最も内定が欲しい企業であった出版系企業の2次面接のため、御茶ノ水へと向かった。
ここでいう「純粋でない」という意味とは何か。
それはもちろん、貴重な煮卵遠征を途中参加という形にまでして受けた企業という意味である。
煮卵遠征の時間を犠牲にしたのは私的にはかなり大きい。
内定が複数あっても足りないくらい。
2次面接は、5vs1という情報だけ聞いていた。
会場に到着。
受付のお姉さんは私の顔をよく覚えていたようで、私の顔を見た瞬間爆笑していた。
面接の時間までだいぶ時間があったので、控室に案内された。
そこには、15分前から面接の時間を待っているという就活生の女性が待機していた。
女性は、私を面接官と勘違いしたらしく、すごく元気な声で「よろしくお願いいたします!」と丁寧に挨拶してくれた。
ああ、きっとこの子は最初の挨拶は相当気合を入れようと思っていたんだろうな、と思うと、非常に申し訳なくなってきた。
老け顔でごめんなさい。マジで。
気さくな会話を交わそうとしたのだが、その直後にその女性は面接の順番となってしまった。
広い控室に1人はなかなかすることが無い。
とりあえず背伸びでもして、水を飲んでリラックス。
すると、別の女性が部屋に入ってきた。
「え!?あ、失礼いたします!」
まさか。
受付のお姉さんと私が爆笑しながら、面接官ではないと説明。
就活生の女性は、「控室だと油断させていきなり面接始まったのかと思った」と言っていた。
老け顔でごめんなさい。マジで。
その女性としばらく他愛もない雑談を始めた。
緊張しますよね、とか。
今日は暑いですね、とか。
なんか今日の面接は荘厳な空気で行われるらしいですね、とか。
最後のは初耳だった。
すると、受付のお姉さんに名前を呼ばれる。
いよいよ私の番だ。
「和田君のインパクトなら大丈夫よ」と励ましの言葉を頂き、頑張ってねという言葉を背に面接会場へ。
元気に挨拶し入室。
パッと部屋を見渡すと、25人は入れるだろうという薄暗く広い部屋に、面接官の背後には遥かな外景。
いかにもラスボスが居座ってそうな空気感が演出されていた。
面接官は男性5名。
うち2名がスキンヘッドと、あちら側のインパクトも中々強かった。
最初の内はオーソドックスな質問が飛び交う。
もうここは私にとって何の障害でもない。
むしろ、状況や話の流れに合わせて話をアレンジするという芸当までできるようになっていた。
しかし、やけにこの日の面接官は高圧的だった。
例えば、私の野球部でのエピソードを話した後には、
「いやー。素晴らしい話なんだけどね、何と言うかマンガっぽい話だよね」
などと、信じてませんよアピールをされたり。
他社の選考状況を聞かれ、素直に落とされた話までしたら、
「ええ?そんなネガティブなことまで話してくれるんだ。ありがとう。」
などと、ちょっと嫌な言い方をされた。
なんだ?今日はそういう感じなのか?という疑惑が私の中で浮上するなか、『私の就活で答えに困った質問ランキング』第2位の質問が飛んできた。
「君は野球部で経営学部ってことだけど、『もしドラ』は読んだことある?」
読んだことはあるので、イエスと返すと、
「じゃあドラッガーの『イノベーションの7つの機会』を全部言える?」
これは困った。なぜなら1つも知らないから。
就活生諸君、こういうときは即時に素直になるのが最善手だ!
「すみません、1個も知らないんですけど、どういうのがあるんですか?」と逆質問。
「いや、私も1つも知らないんだけどね」
お前も知らんのかい。どうやって正誤判断するつもりだったんだ。本当にただの質問じゃねーか。という脳内の全てのツッコミを抹消しつつ笑顔をキープ。
「最後にあなたの座右の銘は何ですか?」と聞かれたので、常に笑顔です、と答えた。
ちなみに私の座右の銘は1週間に1回くらい変わる。
こうしていろいろ圧迫を感じた面接が終了した。
手応えについては、ほぼ通っただろ、という感じ。
というか、これで落とされたら面接官を本気で恨む内容。
意図的に圧迫した雰囲気を演出したんだろうな、という狙いが読めたので、ここは別にイラついたりはしなかった。
まあドラッガーの質問については話は別だけど。
この日はこれでは終わらない。
煮卵・池田と稲毛で飲んだ。
池田は既に社会人生活が始まったこともあり、直接会ってメンタル面の調子を確認したかった。
思ったより元気そうだったようで安心した。
チバちゃんで2人で唐揚げの大バカ盛りを完食するなど食欲も旺盛だった。
この日最大の発見も、語尾に「じゃあ燃やす?」を付けると偏差値が40くらい下がるというイグノーベル賞級のどうでも良いものだった。
こんな感じで1日が終了した。
最後にこの日の2次面接の結果を発表しよう。
察しは付くかもしれないが、無事通過。
最終面接への切符を手にした。
-----2024年4月12日の私より-----
雰囲気だけでは緊張しなくなったあたりが自身の成長を感じます。
この頃はもう明確に自信を持って面接に臨めていました。
想定外の質問に対しては逆質問するというのは相手を選ぶ戦術だと思いますが、素直に知らないことは知らないで良いと思います。