4畳半の下宿は大学の目の前だったから当然ながらたまり場になっていた
信介は同じ下宿の「3畳」部屋に越してきた
体重100kgまで肥えた奴が漫画やティッシュで散乱した部屋で大の字で寝ている様子は豚小屋そのものだ
東大を目指して一浪した秀才とは誰も想像できないだろう
そして克也が近くの下宿に越してくるまで時間はかからなかった
信介、克也と三人トリオで色々下らないことばかりしていたものだ
毎晩のように徹マンしていたのだが、雑誌で「6大学麻雀リーグ選手権」の記事を見て冗談半分で電話をした
すると早稲田から申し込みは我々だけで即座に代表チームとなってしまった
(それが縁で週刊プレイボーイにまで「学生がプロ雀士に挑戦」という企画で一度載せてもらった)
渋谷の若手プロリーグにも参戦したが惨敗だった
やはり生活を賭けて打つプロは腕と気迫が違う
赤坂の東天紅という雀荘でバイトをした
動物好きにとっては憧れの存在のムツゴロウさん(畑正憲)が常連で、初めてコーヒーを入れる時には本当に手が震える思いがした
早稲田祭では有名なプロ雀士を招く企画を開催し、これも雑誌に取り上げられた
金がなくて腹が減ってひもじい時には悪知恵を働かせた
(よい子は真似をしないでね)
よく英会話教材のセールスがあり、きれいなお姉さんが喫茶店で何十万円の教材を売りつけようとした
喫茶店代はおごってくれるので、高い食事を注文して、お話が終わると「考えときます。ごちそうさま!」と一目散に退散したものだ
…これに味を占めて仕送り前で金がない時は、電話帳から教材会社を探してこちらから「興味があるんですが」とセールスのお姉さんを呼び出し、毎度お馴染みの食い逃げ?をした
テレビ局を見たいな、という話からテレビ朝日に電話して「物真似サークルなんです が」と嘘っぱちを言って乗り込んだり
女の子が集まるだろうと目論んで「古都を旅する会」というサークルをでっち上げた ら本当にたくさん集まってしまい慌てふためいたり
信介と克也でそんなアホなことばかりしていたものだった
(第3話へ続く)
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英語レッスンの記事はこちらに引越しました。