製作:シセ・グラム・ヨルゲンセン
原案:スサンネ・ビア/アナス・トマス・イェンセン
脚本:アナス・トマス・イェンセン
撮影:モーテン・ソーボー
音楽:ヨハン・セーデルクヴィスト
出演:ミカエル・パーシュブラント/トリーヌ・ディルホム/ウルリク・トムセン/ウィリアム・ヨンク・ユエルス・ニルセ
ン/マルクス・リゴード/トーケ・ラース・ビャーケ/ビアテ・ノイマン/キム・ボドゥニア
「ある愛の風景」「アフター・ウェディング」のスサンネ・ビア監督が、暴力と愛を巡る簡単には答えの出ないテーマに真摯に向き合い、みごと2011年のアカデミー賞外国語映画賞に輝いた感動のヒューマン・ドラマ。

評価★★★★★
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[STORY]
デンマークで母親と暮らす少年エリアスは、学校でイジメに遭っていた。両親は別居中で、医師である父アントンはアフリカの難民キャンプで医療活動に奮闘する日々。そんなある日、エリアスはイジメられているところを転校生のクリスチャンに助けられ仲良くなる。ある日、一時帰国したアントンが、2人の前で暴力的な男に殴られると、無抵抗を貫いた彼に対し、クリスチャンはやり返さなければダメだと反発する。やがてアフリカへ戻ったアントンの前に、妊婦の腹を切り裂く極悪人“ビッグマン”が負傷者として運ばれてくる。
[IMPRESSION]ネタバレ注意!
またイイ作品に出会えました♪
あー、久しぶりに★5つかなぁ。
私の中ではテーマも展開もツボでした♪
邦題からして『来るな』とは思ってましたけどね(笑)
本年度米アカデミー賞とゴールデングローブ賞の最優秀外国語映画賞をダブル受賞するという快挙を果たしたデンマーク映画です♪
デンマークの俳優で有名なウルリクさんもちゃっかり出てますね♪
この作品、ただ単に子供をテーマにした作品ではなく、現代社会が抱える問題に子供達がどう対処していくか、それを大人達がどう導いていくか?をテーマにした作品ですが、結果的にコレという結論は出ませんね。
それこそ価値観の違いや環境によっても左右されるものですから。
映画は、転校生のクリスチャンが、学校でイジメに会っているスウェーデン人のエリアスを目撃するところから始まります。
エリアスはやり返す事もできないままでいたが、翌日、クリスチャンもそのイジメに巻き込まれてしまい、屈辱の想いで帰宅する。

そのまた翌日、トイレでイジメッこのボスに絡まれているエリアスを見て、クリスチャンは自転車のチューブでボスを殴りつけ、ナイフで脅したのだった。
以来、そのボスがエリアスやクリスチャンをいじめる事はなくなった。
しかし、お互いの両親が呼び出され、警察沙汰にもなり、二人はナイフで脅したことだけは伏せ続ける。
イジメた相手が悪いのに、なぜやり返したら怒られるのか?という子供なりの悩み・・・・。
こうしてまた二人の絆は強くなり、ツルむようになる。

そんなエリアスの父アントンは紛争地で医療活動を行っている。

その地では「ビッグマン」と呼ばれている男が、妊婦の腹を裂き、男か女かを確かめるという残忍な事を行っており、たびたび腹を裂かれた妊婦が担ぎ込まれていた。

やがて帰国したアントンは、エリアスとクリスチャンと弟を連れて出掛け、そこで子供のケンカを仲裁にはいる。
しかし相手の子供の父親ラースに一方的に殴られてしまう。

抵抗せずにやり過ごしたアントンは、皆を連れて帰るが、そんな父親にクリスチャンやエリアスは警察に通報すべきだ!と反抗する。
それでも復讐からは何も生まれないと知っているアントンは、何もせず自宅へ帰った。
が、子供達の前で一方的に殴られるという屈辱を全く味わっていなかったと言えば嘘になる・・・。

彼は後日、子供達を連れて、エリアス達が調べ上げたラースの職場を訪ね、彼に「なぜ私を殴ったのだ」と問い詰める。
しかしラースはまたアントンを殴り続ける。

アントンは殴られても痛くないんだ、無抵抗の人を殴る相手の方が、弱い人間なんだと言う事を伝えたかったのだが、それでも反撃しない父を見て、本人以上に屈辱を感じたのは子供達なのだ。
やり返さない父に対する歯がゆさ、子供なりの純粋な思いである。
そこで、クリスチャンとエリアスは、アントンが再びアフリカに発った後、爆弾を作り、ラースの車を爆破し、自分達で復讐しようと計画を立て始める。

アフリカでは、アントンの元に例の「ビッグマン」が足を負傷して担ぎ込まれてくる。

「なぜヤツを治療するのだ」という皆の声に対して「それが仕事だ」と言いながらも複雑な思いで治療を続けるアントン。
しかし、傷が癒えてきた頃、女性の死体を見て笑ったビッグマンに激怒したアントンは、彼に「出て行け!」と怒鳴り付け、住民の前に放り出してしまう。

唯一ビッグマンを治療していたアントンが、彼を放りだした事で地元住民の怒りは爆発し、リンチを受け処刑されることとなったのだ。
一方、クリスチャンとエリアスも、ラースへの復讐を実行することに。
車の下に爆弾を置き、点火したものの、近くにジョギング中の親子が現れ、エリアスは彼らに警告する為に車のそばへ走っていってしまう。
そして爆発に巻き込まれ、母親の病院に担ぎ込まれたのだった。
母親はクリスチャンの見舞いを断り、彼に激怒する。
クリスチャンはエリアスを殺してしまったと思い、悩み始める。
悪いのはラースなのに、なぜ自分達が責められ、傷つくのか?と・・・・。
幸いエリアスは、命を取り留め、警察の聴取に対しても、クリスチャンを庇う供述をする。
アントンも慌てて帰国し、病院にかけつける。
そんな時、クリスチャンの父から、クリスチャンがいなくなったと電話が入る。
アントンは、エリアスがいつもクリスチャンと登っていた建物の屋上にいるのではないか?と思い、彼を探しにいく。
すると、クリスチャンは建物の屋上から自殺を図ろうとしており、アントンが止めに入る。

その後、クリスチャンはエリアスの母親に連れられ、エリアスを見舞う。
そこにはより絆の深まった二人の少年の姿があった。
現代社会にはびこる理不尽な暴力、復讐や報復がもたらす負の連鎖、しかし非暴力が伝えられる事の限界、親子のコミュニケーションと、子供たちがこれから何に希望を持って生きて行くか?という、何だか悲観的ではあるが、重いテーマの作品でした。

しかし、イイ映画。
必見です♪