製作:スコット・ルーディン/イーサン・コーエン/ジョエル・コーエン
製作総指揮:スティーヴン・スピルバーグ/ロバート・グラフ/デヴィッド・エリソン/ポール・シュウェイク /ミーガン・エリソン
原作:チャールズ・ポーティス『トゥルー・グリット』(『勇気ある追跡』改題/早川書房刊)
脚本:ジョエル・コーエン/イーサン・コーエン
撮影:ロジャー・ディーキンス
プロダクションデザイン:ジェス・ゴンコール
衣装デザイン:メアリー・ゾフレス
出演:ジェフ・ブリッジス/マット・デイモン/ジョシュ・ブローリン/バリー・ペッパー/ヘイリー・スタインフェルド/ブルース・グリーン/デイキン・マシューズ/ジャーラス・コンロイ/ポール・レイ/ドーナル・グリーソン
69年のジョン・ウェイン主演西部劇「勇気ある追跡」の原作ともなったチャールズ・ポーティスの同名小説を、「ファーゴ」「ノーカントリー」のコーエン兄弟が「クレイジー・ハート」のジェフ・ブリッジスを主演に迎えて再映画化。

評価★★★★☆
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[STORY]
14歳の少女マティは、父親がトム・チェイニーに殺されたとの報せを受け、自ら遺体を引き取りに向かうとともに、父の仇を討つと心に誓う。しかし、チェイニーは法の及ばない領土に逃げ込んでしまう。そこでマティは、大酒飲みだが腕は確かな保安官コグバーンに犯人追跡を依頼。最初は子ども扱いしていたコグバーンだったが、マティの執念に押し切られ彼女も同行することに。やがて、別の容疑でチェイニーを追っていた若きテキサス・レンジャーも加わり、少女の過酷な旅が始まる。
[IMPRESSION]ネタバレ注意!
2011年アカデミー賞で10部門にノミネートされたものの、無冠に終わったが貫禄の作品。
キャストも渋めのベテラン俳優陣を揃え、ヒロインは映画初出演のヘイリーを起用するというコーエン兄弟の大胆さ。
コレは見る価値あります。
『トゥルー・グリット』 = 『真の勇者』
見終わってからリメイクと知りましたが、なかなかイイ!
泣きはしないが、おじいちゃん達の戦いが見ものである(笑)
舞台は1870年代のテキサス。
14歳のマティの元に父親の訃報が届けられる。
既に犯人は判っており、彼女は犯人に償いをさせたいと願う。
犯人はトム・チェイニー。
金持ちの娘であるマティは、弁護士を雇い、大金を払って保安官を雇う事にする。

候補の保安官の中から、マティは「しぶとい」男コグバーンを雇う。
酒癖が悪く、いつも酔っぱらっている彼は眼帯をした強面の老人。
容赦なく容疑者を殺すことで有名な彼を、マティは50ドルで雇う。

その日、ホテルに戻ったマティの元に、テキサスレンジャーのラビーフがやってきて、『俺も長い間チェイニーを追ってるから、一緒に追跡しないか?』と持ちかけてくる。
しかし、彼を仲間に入れると、捕まったチェイニーはテキサスで裁かれると思ったマティは、この申し出を断る。

コグバーンの言うとおり、翌朝、彼を迎えに行くと、すでに彼は旅立った後。
置き手紙があり、「捜査はする」と・・・・・。
お金を盗まれた!と思ったマティは、馬に乗り、彼を追うことに。

恐れを知らず、馬と一緒に川を泳ぎ渡る姿に、コグバーンは彼女の執念や勇敢さを見る。
彼に追いつくと、そこにはラビーフが一緒だった。
「これでは約束が違う!」と怒るマティだったが、結果的にはコグバーンとラビーフが交渉決裂。
こうして、マティとコグバーンの長い長い追跡が始まった。
コグバーンは、チェイニーが辿った足取りを探り、少しずつ近づいていた。
ある日、チェイニーも寄ったであろう小屋に、二人の男がいた。
じきに、チェイニーとその一味がこの小屋に戻ってくるだろうと言う。
すると間もなくして人影が・・・。
すぐさま隠れたコグバーンとマティだったが、その人影はラビーフだった。
彼がやってきたすぐ後に、なんとチェイニー達がやってきて、ラビーフが捕まってしまう。
コグバーンはライフルで彼らを撃退するが、その一味にはコグバーンも良く知っているネッドという悪党もおり、彼を取り逃してしまう。

その後、ラビーフも一緒に追跡を続けることになるが、ある日、コグバーン達がまだ寝ている間に、川に水をくみにいったマティは、偶然にも父親を殺したチェイニーと遭遇。
チェイニーに銃を向け、発砲するが、腹にちょこっと当たっただけで、取り押さえられてしまう。

そこにコグバーンが助けにやってくるが、チェイニーを助けにやってきたネッドら一味に追い払われ、一旦引き下がるコグバーン。

ネッドらに捕まったマティだったが、扱いは紳士。
マティに撃たれたチェイニーが彼女に手を出そうとすると、一喝するネッド。
彼らはマティとチェイニーだけを残し、どこかへ行ってしまう。
チェイニーがマティを襲って来た時、そこにラビーフが登場し、頭をぶん殴る。
退散したと思わせたコグバーンだったが、ラビーフと作戦を立て、チェイニーはラビーフが、ネッドはコグバーンが仕留める事に。
1対4の決闘である。

銃撃戦の末、ラビーフのライフルの援護もあって、ネッドは倒れる。

しかしコグバーンも負傷してしまう。
そんな一部始終を見ていたら、チェイニーが後ろからラビーフの頭を殴り、彼は気絶してしまう。
ラビーフのライフルでチェイニーを撃ち殺したマティだったが、ライフルの反動で、ヘビだらけの洞穴に落ちてしまう。
そこで毒蛇にかまれてしまうが、何とか生きて戻ってきたコグバーンとラビーフに助けられる。
ラビーフとはここで別れ、医者に見せる為に馬を走らせるコグバーンだったが、走り続けた為、馬も体力の限界。
足がもたなくなった・・・・。
コグバーンは倒れた馬を銃で殺し、マティを抱えて医者のいる小屋まで歩いていくのだった。
おじいちゃんの意地の見せどころである。

小屋の近くまで来た時、コグバーンは、
『俺も歳とったな・・・』と言いながら、1発の銃を放ち、小屋の主に合図をする。
それから25年。
あの時、小屋に着いたころにはすでに左腕は真っ黒になり、結局は左腕を失ったマティ
家に戻り、未払いの50ドルを払おうとコグバーンに手紙を送ったが返事はなく・・・。
しかし、ワイルド・ウェスト・ショーの一座に入ったという知らせを聞き、彼女は会いにいくが、3日ほど前に彼は死亡したという。
彼女は、共同墓地に埋葬されたコグバーンの遺体を自分の墓に埋葬しなおし、毎年通い続けた。
もし、ラビーフがまだ生きているなら、連絡をくれたら嬉しい、という彼女だった。
老いぼれ保安官にジェフ・ブリッジス、ラビーフには西部劇の似合わないマット・デイモン、無法者チェイニーにピッタリなジョシュと、名優のこの存在感。
決して派手な作品ではないが、長めの上映時間の割には、中だるみせずに見れる作品だった。
金持ちのお嬢さんに興味も、愛想も無かった無礼な老いぼれ保安官が、世間知らずのお嬢様と次第に心を通わせ、命をかけてまで守ろうとする姿が、とっても暖かく、ぐっと来る作品です。
何も考えてないような無作法なテキサスレンジャーも、実は頭のキレる男で、二人をしっかりと援護してくれるという、ドンパチだけの西部劇ではない『トゥルー・グリット』!イイですな(^。^)