☆会話の最初の一言目は、利用者さんの行動を言葉に翻訳してみましょう!
「利用者さんへの介護(介助・援助)開始のきっかけが上手くいかない。」
「声かけしたら拒否されてしまって、その後どうしたら良いか戸惑ってしまうことがある。」
等の相談を、介護の職員さんから受けることがあります。
話を聞くと、多くの方が『①挨拶する→②やさしく介助の声かけをする→③拒否される→④戸惑うが繰り返し声かけする→④ ③へ戻る』という或る程度共通した流れがあるようです。
で、そういうときの成功しやすい介護の導入方法を説明します。
『急がば回れ』の気持ちで読んでください。
【事例】部屋にこもりがちな利用者さん。 生活活動範囲も狭く運動不足。 部屋にいる時間が長いので他者とのコミュニケーションがあまりない。 時間の感覚が不確かなときが見受けられる。 植物は好き。 お茶をあまり摂らず水分不足による脱水症状が心配される。
<事前準備>
Ⅰ、利用者さんの服装や姿勢等の外見をよく見る。
Ⅱ、利用者さんの視線の先になにがあるか確認する。
Ⅲ、天気、気温、ニュース等、いくつかネタとなる話題を考えておく。
Ⅳ、他職員に援助することを伝えておく。
<声かけの手順:例>
①、挨拶する。
職員「こんにちわ。」
利用者「どうも。」
②、まずは、当たり障りの無い事実的な話題を2つ位話しかける。
職員「今日は一日天気みたいですよ。」
利用者「そうなの?」「ふ~ん。」
職員「今日は寒いですね~。」
利用者「そうね。」
③、次にその人についての事柄を1つ2つ話しかける。これも当たり障りの無い事実的な話題でよい。
職員「このシャツの柄って花柄ですよね?」
利用者「ええ、そうよ。」
職員「今の季節にピッタリですよね。とてもよく似合ってますよ。」
職員「頭もさっぱりとステキになりましたね。散髪に行かれたのですね。」
利用者「そう、こないだ行ったのよ。」
・
中略
・
④、そして、本題の介護の話題を振り始める。
職員「立ち話も何ですから、向こうにでも行ってお茶でも飲みませんか?」
利用者「いいわよ。でもお茶はいらないわ」
といった具合です。
勿論このケースと全く同じという場面はおそらくないでしょう。
しかし、普遍的な法則はあります。
まず、【事前準備】Ⅰ~Ⅲは、その利用者さん個人を”今の状態”から”向かうべき状態像”へ、要約して導くシナリオ作りに欠かせない情報収集の役割を持っています。
Ⅰ・Ⅱの情報内容は極めて個性が出やすく、ここは通り一遍等という訳にはいきません。観察が大切です!
ⅢはⅠ・Ⅱの情報を有効に使うボクシングでいうところのジャブのような役割を持っています。
この情報をもって、【声かけ手順】の②、③で使います。
事実的な話題に対し、利用者さんは「はい」という返事しか出来ません。
人は「はい」という返事の話題がいくつか続くほど「いいえ」という返事が言いにくくなります。
しかも「はい」と返事をする話題が、日頃からその方の気持ちのよくなる話題であればなおさらです。
そこに④の介護の本題を切り込んでいく訳ですからどうしても成功しやすいのです。
しかし、介護とはいえその人がもともと拒否的な事柄に対して踏み込む訳ですから、いつイレギュラーな自体が発生するかわからないので、Ⅳの通りチームに連携をとって備えておいてもらいます。
勿論この誘導は、その方の人間性や介護理念を尊重した上に行われる援助であるということは大前提のことです。
(私の文章能力上の問題ですが、今回の一善については上手く伝えられる文面になっているかとても心配です。)
賛否あるかもしれませんが、この好循環化により、利用者さんの自己決定力は徐々ですが、確実に高まります。
また、介護職員も、利用者さんへの思いが利用者さんの行動変容によることで、嬉しい気持ちになります。
心を注いだケアをもっとしてさしあげたい! と、モチベーションがあがります。
結果、利用者さんにとっても介護者にとっても、双方に気持ちの良い関係が芽生えます。