続きです。
2026.06.30
会計時に血液検査の結果がわかるまで2日かかると言われた。
(「今日わからないんだ」)
と、再び心が揺れたけど仕方ないことなので、「わかりました」と言って病院を後にした。
「ひろみ先生の方が心配だった~(笑)」
帰りの車の中でSさんは運転しながらケタケタ笑っていた。
「いやまじでぶっ倒れそうでした」
本気で診察中にまるちゃんが死んでしまうと思ったからだ。
でも、Sさんがカラッと笑ってくれたので安心した記憶がある。
急なことなのに東区まで病院に付き添ってくれたSさんと別れた後、自分の車にまるちゃんを乗せ直して、アナンダへ車を走らせる。
(「まるちゃんと夜のバイパスをドライブする日が来るなんて」)
少し気が抜けていたのでそんなことを考えた気がするけど、まるちゃんは来た時のように「ナオ~ン」と鳴かなかった。
お店に戻って来た。
まるちゃんを開放する前に、私は外へ通じる窓を閉めた。
まるちゃんを外へ出すかどうか決めかねていたからだ。
キャリーを開けるとまるちゃんは、破れた洗濯ネットからひょこっと顔を出していた。
その姿がなんともかわいらしくて思わず笑ってしまったけれど、まるちゃんは怪訝そうにしていた。
ネットからまるちゃんを開放してあげると、予想に反してまるちゃんはよろよろとスタジオの方へ歩いて行った。
押し入れの中にあるテーブルの下へもぐりこんで不機嫌そうな顔をしていた。
「まったくもう」
と、いうようなふてくされた表情だったけど、思ったよりは大丈夫そうだと思った。
シャーもウーも言わずに、
「やれやれ」
という感じだった。
予想に反してまるちゃんが落ち着いていたので、私は押し入れにご飯と水とカメラを持ってきてセットした。
疲れただろうから、今日はそっとしておこうと思ったからだ。
外に出たとしても必ず帰ってくると師匠たちも言っていたのもあって、まるちゃん自身が選べるように、小屋に通じる窓を少し開けておくことにした。
そして私は家に帰ってカメラでまるちゃんの様子を伺っていると、まるちゃんは入念に毛づくろいをして心を整えた後、外へ出て行った様子だった。
「大丈夫そうだな」
私はまるちゃんの為に良かれと思ってそうしたけれど、まるちゃんはその日を境に姿を消してしまった。
きれいな満月の夜だったな。
だんだん距離が近づいていったよ。
(2024.05)


