日曜日の午後は、仕事を終え、札幌に向かう事も多いのですが、1週間の中で唯一少しデスクワークが出来る時間があります。
夕方の動物たちのお世話までのほんの束の間、色々整理する事に追われる時間でもあります(笑)。
昨日もそんないつもの日曜日のはずでした…。
お昼過ぎ、携帯が鳴りました。
女性の声で、
『こぼりさんですか? 猫を保護してるって、それでお電話したんですけど…。』
私はてっきり里親希望者かと思って対応してたのですが、どうも様子が違います。
女性、
『猫を保護したのですが、どうして良いか分からなくて。猫、飼った事がないので。』
話を聞くと、深川のご夫婦で、たまたま砂川方面に用事で来たところ、車で走行中にヨロヨロになってる猫が前を横切ったそう。
1度は車で通り過ぎたのですが、気になって放っておけなくて戻って来てくれたそうです。
近辺で電話をかけて動物病院を探したそうなのですが、日曜日の午後にやってる動物病院はこのあたりにはありません。
困ってネットで検索しているうちに私にたどり着いたそう。
猫の様子を聞くと、目がぐちゃぐちゃ、鼻や口にこびりついた物で口も開かない状態。
鳴くことも出来ず、苦しそうに辛うじて息をしてるとの事。
事故かな…。
近くに病院がない現状で助かるかな…。
人間でも地方に行けば医療格差があるの同様、動物の場合はさらに深刻です。
大きな都市では病院も多数あり、助かる命も小さな町だと遠くの都市の病院まで間に合わない事も。
北海道に来て一番痛感した事です。
保護主さまはどうする事も出来ず、涙声
まずは様子をみて、私に出来るケアをしよう!
私、『こちらまで連れて来る事は可能ですか?』
保護主さま、『はい、すぐに行きます‼』
部屋の温度を上げ、清潔なタオルを用意し、10分ほど待っていると外で車が停まった音が。
急いで外に出ると、車の助手席で猫を大事に抱えてる女性の姿が。
直ぐに彼女から猫を受けとると、猫の状態を見ました。
最初はカラスに目をつつかれたと思っていた保護主さま。
確かに目はぐちゃぐちゃでしたが、奥に眼球がハッキリ見えたのでカラスではない。
出血や骨折なども見られない。
事故で内臓を損傷してる可能性もありますが、むしろ病気や衰弱だと考えました。
私、
『この猫、もし助かったとして、今後どうするおつもりですか? 元気になったら飼いますか? それとも新たに里親をこちらで探しますか?』
保護主さま、しばらくご夫婦で顔を見合せ、奥さまが、
『飼いたい…』
私、
『では、精一杯のケアをして何とか明日まで持ちこたえてくれたら朝イチで病院に連れて行きますが、万が一の事があった場合はご了承下さいね。それから、引き取られるおつもりなら、この子の治療費についてはまず最初に少なくとも1~2万かかるかと思いますが保護主さまがお支払い出来ますか?』
保護主さま、『はい、支払いは出来ます!』
キレイな可愛い猫なら気に留められる事は多いですが、ここまでボロボロの猫に手をさしのべてくれた方、きっと動物に"おもい"をよせる事が出来る優しい責任感のある方に違いない、そう思いました。
何の担保もありませんでしたが、震えてる猫を引き取って家に入りました。
ストーブの前で温め、体を念入りに観察しました。
抱いていても重さを感じない体。
真冬に生きているのが不思議なくらい、骨と皮だけでガリガリです。
腎不全や尿毒症の猫ちゃん特有の体臭もします。
目は目やにでぐちゃぐちゃにくっつき、鼻や口は分泌物が塊になり、口はほとんど開かず、鼻の穴は塞がり、その脇の切れ目からかろうじてズズズッ、と苦しそうに息をしています。
暖かいタオルで顔の回りをふやかしながら拭きますが、ガッチガチに固まった分泌物は簡単には取れないのです。
口が少し開くようになったので、お湯と柔らかいウェットフードをあげてみましたが、鼻からほとんど息ができず、呼吸が苦しく上手く食べれません。
その間に、何かあった時の為に調べた動物病院の中から一番近くの岩見沢の病院が受け入れて下さる事に。
明日まで待たずに済み、直ぐに向かう事になりました!
病院での診察、処置の様子は次回に続きます。