全く、この店は本当にいろいろなものがおいてありますね。
自分で選んでおいていうのも何なのですが。。
まあ、それもこのお店の成り立ちや私の生い立ちみたいなところに端を発しているように思います。
ですので、今日はそこのところのお話を少し。。
もともと、このお店は(というかこの場所は)私の曽祖父の代から始まっています。
最初は履物やさん、つまり下駄とか草履とかそういうものを千葉の軍隊などに卸していたそうです。
そのころの屋号は「福千屋」。とてもよい名前ですね。
いまでも近所のおばあちゃま達に「福千やさん。」と呼ばれることもあります。
その後、今から35年前に私の父は商売替えをしました。
それが今3階にある「ギャラリー呂久呂」です。
父がどうして陶芸に興味をもったのか?
それは若かりし頃に訪れたトルコのトプカピ宮殿で見た古伊万里のコレクションに衝撃を受けたから。と聞いています。
でも、なぜか骨董ではなく新作の作家のものを扱う専門ギャラリーとなりました。
で、程なくして1階にCafeを作ることになります。しかも自家焙煎コーヒー豆の。。
うつわはもちろん作家の作品です。
これにはやっぱり陶芸のよさを多くの人に知ってもらいたいという気持ちがあったからだと思います。
これが1階のcafe呂久呂です。
それにしても、父は凝り性です。
そんな環境に育った私。
実は、うんと若い頃には自宅にある陶器や古いものにはあまり興味はありませんでした。
なのでご他聞にもれず某海外ブランド食器を買い集めておりました。
とにかく輸入モノが一番!と思い込んでいました。
幸いにも20代半ばにインテリア・雑貨の仕事でヨーロッパに頻繁に行く機会がありました。
ほんと、天国です。見るものすべて素晴らしくて、新鮮で、いろいろと買い集めました。
ただ遊びに行っていた訳じゃなく、商材探しが目的の旅でしたので本当にいろいろなものを見る機会には恵まれました。
ある北欧の国で私は理想の内装材を見つけました。
で、販売戦略を考えていく過程であることにふと気づきました。
「日本の気候風土に合うものは日本産のものが一番なんじゃないのかしら?」
そこから私の日本&自分のルーツ回帰が始まりました。
私は日本&日本人のよさはずばり「和」にあると思っています。
つまりハーモニー、和音です。
mixだけどそれぞれの個性を殺さず生かす。そして新しい魅力をつくってしまう。
これはなかなか稀有な特質だと思います。
日本のうつわにもその性格はよく現れてます。
和食器は洋食器のようにはっきりと目的をもって作られるうつわは少ないのもそのせいなのかもしれません。
私たちの店も気づいてみればいろいろな要素をもっていました。
今はやっていないけれど、もともとは履物を扱っていた。
で、父がうつわを扱い始めた。
ついでに飲食を始めた。
一昨年、cafeの奥に小さなセレクトショップを作りました。
それがspace*kaon。
kaon(かおん)は和音の旧読み。つまりは「和音の空間」という意味です。
そこでは新たに洋服とアクセサリーをプラスして、今までの呂久呂に合ったすべての要素をmixできる空間を作ることに決めたのです。
大好きな和のこころをこの小さなspaceで表現したい。
そして人とものとの出会いの場を作りたい。
これは、私が幼い頃から接してきた和食器から自然に感じ、学び取ったことなのかな、と思っています。
私なりの和の表現。それがこのspace*kaon。
一見、いろいろなものが脈絡なく置かれているようだけどそれが不思議と調和してるね、って感じてもらえるようになるといいな、と思っています。