大丸百貨店を運営するJフロントリテイリングの業績が好調のようです。
J・フロントリテイリング(3086)が25日発表した2012年3~11月期の連結決算は、純利益が前年同期比61%増の65億円だった。固定資産売却益を計上したことに加えて、8月末にパルコを連結子会社化したことが利益を押し上げた。(2012年12月25日 日経電子版より )
純利益の大幅増は、特別利益が計上されたから。とは言うものの、百貨店事業も売上が増加しています。そこで、各百貨店・持ち株会社の百貨店事業の売上の増減をまとめてみました。
【百貨店の6ヶ月売上増減比較】
◯大丸松坂屋(3月~8月) →1.0%増
◯阪神・阪急(4月~9月) →5.4%減
◯高島屋・国内百貨店(3月~8月) →2.1%増
◯そごう・西武(3月~8月) →1.3%増
◯三越伊勢丹(4月~9月) →1.4%減
実際に調べてみると、各社増減さまざま。11月単月の既存店売上高を比べると、次のようになります。
【各百貨店11月売上比較】
◯大丸松坂屋 →5.1%増
◯阪神・阪急 →11.3%増
◯高島屋 →1.4%増
◯そごう・西武→データなし
◯三越伊勢丹 →0.3%減
阪 神・阪急の大幅増は、阪急うめだ本店リニューアルオープンが大きく影響(阪急うめだ本店単独では、なんと48.4%増!)しているので、大丸松坂屋の増加 率の高さが際立っているかと思います。ちなみに、大丸松坂屋の高い増加率の要因は、10月リニューアルオープンした大丸東京店の影響。
J フロントリテイリングの百貨店事業が、これほどまでに好調なのは、その差別化によるものだと思います。その戦略は、高級ブランドにこだわらず、集客力の高 いテナントを百貨店内に誘致することによって、百貨店全体に売上を伸ばそうというもの。ショッピングセンターに近いとの批判もありますが、実際に利用する 者としては、高級ブランドだけの百貨店よりも、ユニクロ・東急ハンズのある大丸の方が、行く機会が圧倒的に多いのです。今のところ、この戦略は成功してい ると言えるでしょう。
Jフロントリテイリングの第三四半期決算説明書で驚いたのは、子会社パルコの営業利益率の高さ。大丸松坂屋と比較すると、以下のようになります。
【Jフロントリテイリングの大丸松坂屋とパルコの営業利益率比較(3月~11月)】
◯大丸松坂屋→1.4%
◯パルコ→3.9%
パ ルコは、大丸松坂屋よりも約3倍効率的に利益を獲得していることになります。売上を比較すると、パルコは大丸松坂屋の約8分の1。しかし、営業利益では、 大丸松坂屋の約3分の1も稼いでいます。ちなみに、大丸松坂屋以外の百貨店の営業利益率を計算したところ、以下のようになりました。
【大丸松坂屋以外の各百貨店営業利益率】
◯阪神・阪急(4月~9月)→0.41%
◯高島屋・国内百貨店子会社(3月~8月)→0.53%
◯そごう・西武(3月~8月)→0.30%
大 丸松坂屋の営業利益率は、他社の約2.6倍~約4.7倍。効率の高さが、数字に表れています。この効率の高さは、集客力の高いテナント誘致という、他社と の差別化によるものだと思います。(テナントを誘致することで、人件費の削減にもつながります。)営業利益率がさらに高いパルコを子会社化することで、こ の方針をさらに推し進めるのでしょう。
そこで思い出したのが、12月25日に大丸神戸店地下で見つけたケンタッキーフライ ドチキン(KFC)の臨時店舗。KFCは、クリスマスには特に人気のファストフード店。実際、三宮駅前のお店には行列が出来ていました。この集客力の高い KFCのクリスマス限定誘致も、先程説明した戦略の一貫なのでしょう。子供にKFCで買ってくるように頼まれた親は、大丸の後にわざわざ混んでいるKFC のお店に行かずに、この臨時店舗で購入するのではないでしょうか。デパ地下の他の店舗(特にケーキ店)からすれば、KFC臨時店舗の売上は微々たるものか もしれません。しかし、大丸のKFC臨時店舗で買ってもらえれば、大丸は特に大きな経費を掛けずとも売上を獲得することができます。さらに、KFCの臨時 店舗があるということで、そごうではなく大丸で買う人もいるのではないでしょうか。
大丸神戸店のKFC臨時店舗から、Jフロントリテイリングの経営戦略だけでなく、売上獲得への執念を感じました。
☆ 今日のまとめ☆
大丸松坂屋の高い営業利益率は、集客力の高いテナントを誘致するという、差別化ゆえのもの。
大丸神戸店のKFC臨時店舗も、その一環。
マーケティング・ビジネスのヒントに関するブログも書いています
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
☆ 今日のこぼれ話☆
考えてみれば、デパ地下にファストフードというのは、あまりない組み合わせです。
阪神百貨店梅田店のマクドナルドぐらいしか、思いつきません。
☆サイゼリア創業者 正垣泰彦の言葉☆
「よ く飲食店経営の本にはターゲットを絞れと書いてあるが、私はお勧めしない。人口の少ない地方では、ターゲットを絞る店は成り立ちにくい。だから、あなたの 店が地方にあって、うまくいかないと悩んでいるなら、あなたの店が商圏に合っていない可能性が高い。そして、商圏の広さや人口は、店の利用形態によって異 なる。」
(『おいしいから売れるのではない 売れているから美味しい料理だ』 より)
※創業者・経営者・商売人の心に残る言葉、元気になる言葉を紹介しています。
