先週号でしょうか、日経ビジネスに家電量販店の話題が、取り上げられていました。
今 回は「量販店とアマゾンの価格はどっちが安いのか」という疑問に対し、読者がもう少し現状に近い感覚が持てるように、記事を書くために実施した価格調査 の結果の一部を明らかにしようと思う。1人で行ったものなので、非常に限られた製品についての言及に留まるが、読者の方にはその点を踏まえて読んでいただ ければ幸いである。(日経ビジネスオンライン2012年12月7日)
その内容は、ネット通販 の価格を提示して値引き交渉を行えば、家電量販店の実店舗の方が、価格が低くなる場合が多い、というもの。近隣店舗との価格比較にしか応じず、ネット通販 価格には応じなかった時代は、今は昔。ヨドバシカメラでは、実店舗の売場に、価格比較しやすいように、バーコードをわかりやすく表示しているほどです。実 店舗のショールーム化により、収益が悪化した米の同業者・ベストバイの教訓を生かしているのでしょう。
値段が安くなること は、買い手にとってはうれしいことですが、みんながみんなそう思うとは限りません。というのは、家電量販店で購入する際に、わざわざ値引き交渉をしなけれ ばならないからです。この手間が嫌で、家電量販店での購入を鼻から考えない人が、意外に多いのではないでしょうか。
日経ビ ジネスの記事を見ると、その値下がり幅に驚きます。実際の数字は覚えていませんが、ほとんどの商品が15%以上下がっていたと思います。逆に考えれば、値 札の商品は15%以上高く設定されている、ということになります。このプレミアム分を無くすためには、ネット通販価格を提示して交渉しなければなりませ ん。交渉する時間に不満を感じるだけでなく、値下げ交渉自体をしたくない人もいるでしょう。ネット通販なら、交渉しなくて済むだけでなく、クリック一つで どこからでも購入できます。時間や嫌なことをする感情を考えれば、交渉後に少々安くなっても、ネット通販を選ぶ方が合理的かもしれません。
こ のように考える人が増えると、消費者の家電量販店を見る目が変わります。従来は、「安く販売してくれる有り難いお店」でしたが、それが「値段を釣り上げて いるセコいお店」に変わります。これは、プラスからマイナスへの転落に他なりません。消費者は、家電量販店への信頼を失うからこそ、イメージの悪いお店に なるのです。ネット通販に消費者を奪われないために行った施策によって、逆に客離れを起こしてしまう。本当に皮肉なことです。
こ のようなことを考えたのは、ジャパネットたかたの高田社長の連載記事が、日経新聞に掲載されていたからです。ジャパネットたかたは、家電量販店と比べれ ば、それほど価格は低くありません。ネット通販との競合を考えれば、業績が悪化しても不思議ではありません。しかし、実際には収益は拡大しているようで す。その理由は、顧客の信頼を勝ち得ているからではないでしょうか。社員だけでなく社長自らが、一生懸命商品説明します。また、カードの金利手数料は、 ジャパネット負担。さらに、アフターサービスにも力を入れているようです。しかも、最安値とは言えなくても、お買い得価格を提供。これらのプロセスを通じ て、ジャパネットたかたは、顧客の信頼を獲得・維持・増強しているのではないでしょうか。
顧客の信頼を失い家電量販店、顧 客の信頼をより大きくするジャパネットたかた。この違いが、業績の違いにつながっているのではないでしょうか。価格競争に巻き込まれやすい家電製品でも、 信頼を地道に育むことで、価格競争から免れるのです。さて、家電量販店は、これからどうやって信頼を回復していくのでしょうか。
☆ 今日のまとめ☆
ショールーム化を避けるために行うネット通販比較での値下げ交渉により、家電量販店は、大切な信頼を失うことにならないか。
信頼を地道に育むことで業績を拡大するジャパネットたかたは、信頼の大切さを教えてくれる。
マーケティング・ビジネスのヒントに関するブログも書いています
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
☆ 今日のこぼれ話☆
ジャパネットたかたのラジオ通販は、毎日耳に入ります。
あの喋り方は、本当に耳に入ってきますよねぇ。
「ジャパネットたかたのセールス講座」というセミナーが、行われても不思議ではありません。
☆サイゼリア創業者 正垣泰彦の言葉☆
「「おいしい」=「客数」と考えようとしている。客数が増えているなら、その店の料理はおいしい。逆に減っているなら、料理はおいしくないのだから、何らかの対策を講じるべきだ。」
(『おいしいから売れるのではない 売れているから美味しい料理だ』 より)
※創業者・経営者・商売人の心に残る言葉、元気になる言葉を紹介しています。