【日曜版】王道RPGに学ぶ仕事論 | カフェレオグループの社長ブログ

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ゲームやアニメーションなどのキャラクターグッズに関わる仕事をやっているカフェレオホールディングスという会社の代表をやっています。
グループ企業で「アルジャーノンプロダクト」「日本卓上開発」「CPL」という会社を運営しています。

日曜日は何とか15年目を迎えた経営者としての経験から伝えられる持論のお話を。

社内などで何かを伝えるときによく例えを使うのですが、最近は誰もが通ったことのある王道RPGから社会経験の浅いスタッフやリーダー達に向けて例えを当てはめて話す事があります。
今回は100%持論になりますが「王道RPGに学ぶ仕事論」と題して10項目を簡単にまとめてみました。

1.最初は自身も相手も弱い

ゲーム当初は強い武器も防具も所持金も無くひたすら弱い相手に戦うことを繰り返す日々になります。仕事も同様で最初はゲームを覚える為のチュートリアル(研修)を繰り返す日々です。「そんなことはわかっている」と思いながらも基本を学ぶことが以降有利に進めるための最短の道のりを歩むための手法論なのです。最初に出会う相手をいくら倒しても得る事ができる経験値やお金はちょっとだけです。最初はそれが新鮮な毎日でもある程度慣れてくると物足りなくなってきます。その繰り返しが苦痛になってくる頃に次のステップに向けて視野を切り替えるかゲームを辞めてしまうかが自身が選んだ環境の「選択」を決める最初の岐路になります。

2.投資は惜しみなく

弱い相手との戦いを繰り返しながら得られる経験値と所持金は微小なものです。それでも経験値を積んでレベルアップを繰り返し前に進むと戦う相手も少しずつ強い相手になってきます。強い相手になれば得られる経験値もお金も少しずつ高くなります。ひたすら我慢して稼いだお金を何に使うか。それはやはり武器や防具に惜しみなく投資すべきです。弱い武器や防具を身につけたままではより強い相手と戦うことはできません。仕事に例える「武器」や「防具」は何か。それはやはり自身を高めるものであれば何でもよいと思います。その仕事に関わるものや経営論などの書物を買うのもよし、イベントや展示会に足を運ぶ経費に使うのもよいし、スーツやビジネスバッグや文具などを購入するもよし。一流なものに届かなくとも現在の自身に見合うものに投資することが次のステップに向かう大切な投資だと思います。

3.情報は酒場で得ろ

仕事で大切なことは何よりも情報です。当社もコミュニケーションを取るのが苦手と言う人やお酒が飲めないという人も沢山います。しかし王道RPGでも先に進む為のヒントは酒場に集う人たちと会話を重ねることで得られることが沢山あります。まず酒場に足を踏み込む勇気を持つ事とその一杯を飲む事でお金を払うことを理解した上で沢山の会話の中から大きなヒントを見つける意識を持つ事はゲームの最後まで重要なプロセスの一つと捉えるべきです。

4.パーティーはバランス重視で

仕事はチーム戦です。王道RPGも同様で一人だけ極端に強くても先に進むことは困難です。戦いに勝ち続けても経験値を自身にだけ振り分けることは一緒に旅をするパーティーの仲間たちが成長しません。むしろ戦いに負ける仲間の「棺桶」を引きずったまま自身が満身創痍で戦い続ける道のりとなります。「数字には弱いけども愛想が良くて体力のあるタイプ」「何かの知識やカテゴリーに特化している職人肌」「攻撃力は無くとも気配りが良く存在自体が癒しを与えてくれる人」などなど人は何かのポテンシャルを持っています。リーダーは全ての目配りをできる人材ならではですが自分ひとりで勝ち抜くという意識を持ってしまうとパーティー全体の成長に導くことは難しいのではないでしょうか。

5.マップには目を通すこと

全てを網羅したマップを得る事は人生でも難しいことです。最初は自身の視野の範疇で得られる範囲の場所しか見る事しかできません。自身の視野は冒険を繰り返すことで拡がっていきます。人生経験が長い人はその範囲の地図を持っていますし、何かに特化した経験を持った人も狭くともその人ならではの地図を持っています。ダンジョンに灯りを持たずに侵入することは瞬殺されるリスクを持ち合わせています。大きい地図を持っている人に出会えるときはリスペクトを持って道のりを教えてもらうべきです。

6.宝物は意外なところにある

難敵を倒すことは大きな経験値やお金を得る最大の手段です。しかし時にとんでも無い場所に宝箱があったり未知なる場所の階段が隠れていたりします。自身の活動範囲を狭めずにいろいろなところに足を運ぶ事も大切なことだと思います。仕事でも無駄な事と思えることに大きな発見を得られることがあります。経験を積むほどやるべきことに縛られてしまいますが、時に回り道をしたり道草することで発見や宝箱に出会うチャンスがあることを忘れないようにしたほうがよいと思います。

7.宝箱にはびっくりお化けもいる

宝箱には罠もあります。仕事も同様で経験を積むほどに宝箱を明ける事に躊躇しなくなりますが時にとんでもない罠が仕込まれていることもあります。疑ってかかることを繰り返す事は人間形成上にもよいことではありませんが、時に危機感を持つことは自身を守る為にも重要なプロセスかもしれません。

8.レベルアップしたら次のステップに進め

経験値を重ねることでレベルアップします。レベルアップすれば必然的に強い相手に遭遇し新しい土地に旅する権利を得る事ができます。自身がレベルアップするということは「強くなる」ということなのですが相手が弱ければ自身が傷つくことも少なく失うことも防ぐことができます。しかしより強い相手に出会うことを受け入れなければ新しい冒険をすることもできません。当社も4~5年前に冒険の最初から一緒に旅をした中堅のスタッフたちが続々退社するという体験がありました。会社としても長いお付き合いをいただいていた皆様に大きな心配を与えた事態となりました。そのスタッフたちが経験値をためてレベルが上がりながらも現状に固執してしまい次の冒険に躊躇してしまうということが大きな理由でした。結果的にその先の土地を旅している経験者たちが当社に入社してくれたことで当社もその先の冒険ができるきっかけとなりました。道半ばながら新しい冒険を続けている当社ですが、過去に一緒に旅した仲間たちが今もパーティーに加わっていればそれにこしたことはありません。スタートアップから成長期に向かう企業ではよくあり得る事例ではないかと思うのですが、向かうべきステップを共有するということは大変重要なことだと今になって痛感することです。

9.セーブはこまめに

誰でもセーブ(保存)を怠ったことで後悔した経験があるのではないでしょうか。しかし残念ながら人生でセーブをすることは不可能だと思います。ではどうすればセーブができるのか。仕事上でいえば「予測した上で準備する」事が最善かと思います。時に重要な商談や普段会える事が少ないキーパーソンと出会える機会。そういう時にはやはり資料を整理したり、情報を共有しあったり、訪問する時間に余裕を持った動きをしたり、最悪に備える準備を行う事しかないかと思います。
また「全滅」しない配慮をすることも大切です。ゲームでは薬草を使ったり回復系の魔法をこまめに使うかと思います。パーティー(チームメンバー)が疲労していることを察知してどういうダメージを受けているのかを理解して都度介抱することを怠らない努力はすべきです。時に休暇を取らせたり食事をしながらゆっくり話をしたりフォローをしたり。結果的にパーティが全滅して以前のセーブポイントに戻るよりも一旦休んでトライしたほうが結果的に効率的ということもあります。

10.ゴールは人それぞれ

ラスボスを倒す事がゴールかもしれませんが、時間をかけて経験値をためることを追求したり、世界の隅から隅まで歩き回ったり、違うゲームに挑むことも人それぞれの選択だと思います。大切なことは「楽しめるか」ということだと思います。仕事でも「感情移入」をするということは大変重要なことだと思います。毎日を「やらされている感」になることは継続することが困難です。『社畜』と言う言葉がありますがルールの中で「やり込む」ことは決して悪いことではありません。経験値を積んだ人間がパーティーの最前線に立つ事は戦いの中で重要な戦術です。ただ仕事というゲームは先の長い道のりです。何に「価値」を持つかということは継続するために必要なことであり、周りのメンバーもそれを理解することがパーティーの強さを高める最大の要素だと思います。困難な状況になってもきっとゴールに向かう道筋が残されているということだけは決してあきらめて欲しくないと思います。



ということで自身もパーティーを率いながらの冒険を続けている最中ですが、王道RPGには沢山の人生のヒントが隠されているよくできた内容だと思います。だからこそ何百万人の人たちが購入するだけの秀作のコンテンツなんでしょうね。

また時間がある時に学生や若い時の自分と違う今の感性で遊んでみたいと思います。