少し時間を戻します。
戦後の日本にとって最も大事なことをまだ書いていませんでした。
それは憲法が新しくなったことです。いわゆる新憲法、平和憲法です。
発布されたのは昭和21年(1946年)11月3日。
実際に施行されたのは翌年の5月3日です。

明治維新以来の憲法が新しくなったのですから大変な出来事です。
いちばんの変化が「2度と戦争はしない」ということ。
これが今少しづつ巧みに崩されつつあることに用心しなければなりません。
更に大きな変化は「婦人参政権」そして「基本的人権」です。
それまでは女性には選挙権がなかったのですからひどい話です。
そしてもっとひどいのが「人権」という概念そのものがこの日本には存在していませんでした。
「人として認められる」のは一部の上層部の、それも男性だけ。
一般庶民は、中でも女性は、「人」として認められていなかったのですからひどい話です。

今はかなりこの「人権」が認められるようにはなりましたが、まだまだ根が浅く、出遅れた分だけ西欧諸国には追い付いていない気がします。特に女性に関しては全くの後進国です。

そしてブギウギ。

私が母に連れられて日劇へ笠置シズ子さんのショーを見に行ったのは中学1年生くらいの時だったと思います。
笠置シズ子さんが黄色のワンピース姿で舞台狭しと踊りまくりながら「東京ブギウギ」を歌っていた姿を覚えています。

NHK朝ドラの「ブギウギ」の趣里さんもお母さんの伊藤蘭ちゃんにそっくりで可愛らしかったですが、迫力の点ではホンモノに敵いませんね。もっとシャウトさせたらよかったのにと思いました。

朝ドラでも放送されたように、続いて「ヘイヘイブギ」「買い物ブギ」更に「ジャングルブギ」と次々にヒットしました。
日劇は「日本劇場」の省略。有楽町にそびえる円形の劇場で、いつも実演と映画の2本立てでした。

歌舞伎座も空襲で焼けてその頃はまだ復興していませんでしたから、橋を渡った築地寄りにある東劇(東京劇場)で歌舞伎の公演が行われていました。
その後に復興した歌舞伎座は、その何十年か後に更に建て直されて現在(2024年)のものになっています。

東劇はその後ずっと映画館でしたが、今もまだあるでしょうか。
その前の橋の下は当時は隅田川に続く運河で、カキ船などが並んでいましたが、埋め立てられて今は首都高の一部になっていますね。

同じく日劇のそばの数寄屋橋の下の川も現在は首都高になっています。戦後間もなくの有名なラジオドラマ「君の名は」の舞台になった所で、佐田啓二と岸恵子主演で映画化もされました。
主人公の真知子がショールを頭から首にかけて巻いた「真知子巻き」が大流行しました。

さらに60年代になるとロカビリーブームとなり、日劇は平尾昌晃、山下敬二郎、ミッキー・カーティスの3人男によるウエスタンカーニバルが有名です。
熱狂的ファンが投げる紙テープで彼らがぐるぐる巻きにされたり、ステージに駆け上がって抱きつく女性ファンもいたりして大変な騒ぎでした。