エルム・スタッフのアヤネです。
日仏シャンソン協会会員の皆様、そして各新聞をご覧いただいた皆様は
ご存知かと思いますが、
7月10日、エルムの館長=加藤ハツが92歳の生涯を閉じました。
7月8日の名古屋巴里祭を見届けて、静かに逝きました。
私はエルムの事務員という立場ではありますが、
ここからは彼女の孫として書かせて頂きます。
お見舞いに行く時、私はただ単に、
「おばあちゃん」に会いたかっただけなのに、
彼女はベッドの上でもずっと「エルムの館長」でした。
病床で話す事と言えば仕事のことばかり。
「シャンソンコンクールはどうなった」
「フランス公演の準備は順調か」
「シャンソン大使の全国ツアーを頑張りなさい」
エルムのことを心配し、日々のライブを気にかけ、
自分の事よりも先にまずエルム、エルム、エルム…
最期の最期まで、名古屋に文化の灯を灯し続け、
福祉活動に全力をそそいぎ、
「エルム館長」であり続けた92歳の祖母を、
私は誇りに思います。
亡くなる数日前、
館長が私のお腹に手をあてて、そっとなでてくれました。
私のお腹には小さな命が宿っています。
館長も、ひ孫の誕生をとても楽しみにしてくれていました。
館長がなでてくれたその日から、
グッとお腹も大きくなり、胎動を激しく感じるようになりました。
たまたまそういう時期でそういうタイミングだったのかもしれません。
でも、私には館長が自分のパワーをお腹の子に分けてくれたのだと
思わずにはいられません。
10月に93歳の誕生日を迎えるはずだった館長と、
10月に生まれる予定のお腹の子は、
何か強い繋がりで結ばれている気がしてなりません。
命が命をつないでいく…ということを
強く感じています。
悲しみは深く大きく、言葉では表せませんが、
今は、シャンソン大使の全国ツアーを成功させること、
そしてエルム歌手やエルムシスターズの力を借りながら、
館長が強く望んでいた11月のフランス公演を成功させることに
集中したいと思います。
この1週間、
人の温かさや絆を本当に沢山感じています。
人とのつながりは、
館長が残してくれた何より大きな宝物です。
音楽を通じて、そして福祉活動を通じて多くの方々から支援をいただき、
今のエルムがあります。
館長の灯した文化の灯を絶やすことなく、
ここから一層頑張っていきたいと思っています。