出逢いと言っても現世の人ではありません。

戸隠の森林公園を抜け鏡池に出て、更に分け入った小径の先には小鳥が池。

さて、そこから左に行くと車道に出る、右に進むと先程の小径の続きで山の中です。

もう5時間近くも歩いたしバス通りに出ちゃおうか?と妹に言いましたが妹も決めかねていたので、じゃあもう少し頑張って山道を行こう!ということになり歩き始めました。

下の方に人家が見えてきた頃、左手の切り開かれた山の中にお墓の一群が目に入りました。

高野山の中にある大名のお墓のように立派です。

私がご縁だからお祈りしてくる、と言うと妹は
「私は修業してないからよそのお墓は遠慮しておく。」と、入り口で手を合わせて待つことになりました。

入り口の立て札に久山と書いてあり、妹は今日のお宿は久山館というのだと言うのできっとそちらのご先祖の代々のお墓でしょうか?と、一基づつ回りながら般若心経を全山に響きわたるような声を出して揚げました。

なにしろ何時間も熊除けの為に大声で歌ってきていたので発声練習はばっちりでした。

お墓にはいる前と退出する際に、今まで経験したことのない、ゾワっ!とする波が胸の辺りを走りました。

後で戸隠の事をしりましたら、元々はお寺だった所が明治維新の神仏分離により、やむなく寺から神社に変更して生きて行かざるを得なかったのでしょう。

揚げていたお経から祝詞だけを揚げるように変わらざるを得なかったのでしょう。

久しぶりの般若心経で喜んで下さったのだと感じた次第です。

やはり後から知ったのは久山家は昔は別当職であったと言いますから立派なお墓なんですね。

90代のおばあ様が逝去されたばかりのようですから私のような下手なお経でも読んで欲しいと導かれたのだと思いました。