逆時間でお知らせします。
神社大祭終了後、奥湯河原の停留所から細い山道を上ってくること一時間の天照山神社を今度は更に上に40分の山道を登ってバス道を目指しました。
雨は激しくなり、久し振りの登山はゼイゼイ。
私たちの前を二人の男性が歩いていました。
大祭に参加していた人です。
私達が遅れると待っていてくれます。
数十分登ると「白雲の滝」に出ました。
一人の男性はここのお水を汲んで、またもと来た道を戻って行かれるそうです。
雨だし、もう一人の男性は更に登って帰ると言うので、私と妹もついていきました。
その人は慣れているようで、リズムよく登って行きます。
私達は上に出たら四時湯河原行きの最終バスに間に合うようにいけば、と、途中から休み休み登りました。
男性は車を上に止めているようでしたが、もうお帰りになったろうな、と思ってかなり遅れてバス道に出たら、車から、送りますから乗って下さいと、いってもらいました。
その日宿泊の宿までの30分程、ずっと話してくれました。
それは、もう28年も昔の事、彼は沼津で父親からの会社を経営していたのですがトラックの下敷きになり、後三分救出が遅れたらもう命はなかった、というほどの大事故に遭いました。
その頃借金も数千万円あった上に、頭が痛くなり病院では手術しないと危ないと言われていました。
しかし、手術しても保証はありません。
その頃高野山のお坊さんに遇い、白雲の滝で行をすれば治ると言われ、連れていってもらいました。
3、4回行をした頃、坊さんが白龍の夢を見て、彼に今日から毎日、自宅から7日間滝に通い、お米、お塩、お酒を備えて行をしなさいと白龍の神様がいっている、と言われ、半信半疑だし、滝から神社までお参りしてからまた戻るというのは、人にやっと支えられるようにして登っているのに無理だと思ったが子供も小さいし、借金もあるしで、色々な人に助けてもらって乗りきりました。
手術もしないで治り、仕事もそれ以降順調だそうです。
その時からずっと今まで毎月神主さんが天照山神社に来られる日に彼も白雲の滝と神社にお詣りされているそうです。
72歳。
今では沼津の名士のようです。
湯河原に降りてご自宅に帰られるのかと思ったら、もと来た道を戻って行かれました。
はじめて会う私たちにまで優しいのです。
何の見返りも期待しないで。
(続く。)
