まさか、こんな格好で来るとは予想もしなかったので輝は驚くとともに、おちゃめな一面を持つ河原市長に興奮を覚えた。
「じゃぁ、息子さんをお預かりいたします」
そう言って河原市長は輝の案内でカフェ・シェリーへと向かった。
「この街は初めて来るんだけど、とても賑わっているね」
「はい。ボクの自慢の街です。でも、不安もあるんです」
歩きながらそんな会話を交わす二人。傍から見ると親子が普通に会話をしているようにしか見えないが、その実内容は大人でもしないような政治や経済、この先の災害対策などとても深いものであった。
「ここです」
「へぇ、ビルの二階に喫茶店があるんだ」
「はい、隠れ家的なところですし、お店の方もとても親切なんです」
早速二階に上がり、木の扉を開く。
カラン・コロン・カラン
心地よいカウベルの音。同時に聞こえてくる「いらっしゃいませ」の声。そして扉をくぐるとコーヒーの香りが漂ってくる。
「うわぁ、すごく素敵な喫茶店だね」
「はい、ここのおかげで今のボクがあるんです。ここには魔法のコーヒーがあります」
「魔法のコーヒー?」
さすがの河原市長もその言葉には驚いた。
「はい、それは飲んでみてのお楽しみにしてください」
〜おしらせ〜
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