Cafe Shelly next 第29話 入れ替わってる!? その27 | 【小説】Cafe Shelly next

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喫茶店、Cafe Shelly。
ここで出される魔法のコーヒー、シェリー・ブレンド。
このコーヒーを飲んだ人は、今自分が欲しいと思っているものの味がする。
このコーヒーを飲むことにより、人生の転機が訪れる人がたくさんいる。

 雄一もそう言われて、思わず照れてしまった。このとき、シェリー・ブレンドを飲んだあの味が頭の中で蘇っていた。あの甘い味。そう、恋愛の予感がするあの甘い感覚である。

 

「あはは、まさか、ね」

 

 そう思いつつも、つい有希さんを目で追ってしまう自分がいることに気づいた。

 

「あんな素敵な女性が、オレみたいな太って脂ぎった中年のおっさんに惚れるわけがない。勘違いするな。それに有希さんは社員だし、我社の中でも逸材なんだから。変な気を起こすんじゃない」

 

 そう自分に言い聞かせつつも、どうしてもさっきの有希さんの言葉、そして表情が頭に何度も思い出されてしまう。

 

 ここでふと、彼女の息子の隆也くんのことを思い出した。彼のような人物をこれから育てていけば、後継者の器にぴったりだな、と。自分にあんな息子がいたら、経営者としての勉強をさせてみるのに。

 

 今そんなことをしたら彼を贔屓にしていると思われてしまうだろう。他の社員から反発されるのは目に見えている。隆也くんもそれを喜ぶとは思わない。これは完全に自分の独りよがりの思いである。

 

 けれどもし、有希さんと一緒になることができたら、それは我社の後継者問題を解決することにつながるかも。

 

〜おしらせ〜
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