Cafe Shelly next 第29話 入れ替わってる!? その15 | 【小説】Cafe Shelly next

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喫茶店、Cafe Shelly。
ここで出される魔法のコーヒー、シェリー・ブレンド。
このコーヒーを飲んだ人は、今自分が欲しいと思っているものの味がする。
このコーヒーを飲むことにより、人生の転機が訪れる人がたくさんいる。

 高校生の頃、進学のことで父ともめてそんなセリフを吐いたことを思い出した。自分の意志を貫いた結果、自分の学力レベルよりも少し上の大学に合格。父を見返したときのことが頭によぎっていた。

 

 そこでふと今の自分を思い出した。

 

 確かに会社を興したのは父である。しかし、今の社長は自分だ。なのに何一つ自由にできていない。会議の時に意見はするが、結局父の意見で決定してしまうことが多い。

 

 自分としてはもっと社員満足を上げて、自由に働かせてあげたいのに。父はどちらかというとガチガチに締め付けて、あれをしろ、これをしろと命令をするタイプ。だから人が定着しないんだ。

 

 そんなことを思ったとき

 

「どんなお味がしましたか?」

 

 マスターのこの言葉でハッと我に返った。

 

「あ、いや、何か不思議なものを見ていた感じがします。昔のことを思い出しました」

 

「どんなことだったんですか?」

 

 雄一は今自分が感じたことを包み隠さず、素直に話してみた。

 

「なるほど、ということはさっきの隆史さんの感じたものとつながりますね」

 

「えっと、確か会長の困った顔が浮かんだとか言っていましたよね」

 

「そうか、社長としてもっと会長を困らせるくらい、自分の意志を通せってことか」

 

〜おしらせ〜
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