「そうそう、そのときに突然地震が起きて、身を伏せたんです」
雄一もマスターにそう訴えた。
「そして地震がおさまったと思って目を開けたら、身体が入れ替わっていたんだよ。あのときは自分に何が起きたのか、理解するのに戸惑ったなぁ」
今度は隆史がそう訴えた。
「けれど地震なんて起きていない。つまり、二人だけに何かが起きた。それを地震だと勘違いするほどの揺れを感じたというわけですね」
「マスター、何かわかる？」
「いやぁ、さすがにそういった現象は見たことも聞いたこともなくて」
マスターはコーヒーを淹れながらそう答えた。
「で、この先どうすればいいのかを知りたくてここに来たんですよ。シェリー・ブレンドの魔法で何かわかるかな？」
「シェリー・ブレンドの魔法？」
雄一がそう尋ねる。
「ここのコーヒー、シェリー・ブレンドは飲んだ人が今欲しいと思っているものの味がするんだ。今回みたいに、これから先どうすればいいのかって迷った時にこいつを飲むと、そのためのヒントをもらえることができるんですよ。オレはこいつのおかげで、今まで何度もピンチを救ってもらったんです」
「シェリー・ブレンドの魔法ねぇ」
半信半疑の雄一だが、今は信じるしかない。
〜おしらせ〜
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