「では思い切って話させていただきます。実は私、同性愛者なんです」
このとき、マスターがどんな表情を浮かべるのかをあえて確認した。が、マスターは表情を変えずにしっかりと私の方を見てくれている。
「そうなんですね。ということは先程お話した年の離れた恋人というのがそうなのですね」
「はい」
「それでわかりました。暗闇の意味が。おそらくですが、そのことをずっと隠していたことで、自分の中に閉ざされた心の闇を持ってしまったのではないでしょうか」
「そうかもしれません。じゃぁ、ここに光がさすってどういうことなのでしょうか?」
「うぅん、これは私の勝手な解釈なので正解かどうかはわかりませんが。今はそういう性的マイノリティを受け入れるような風潮が高まっています。自治体によっては同性同士の結婚を認めるというところもありますから」
柊もそのことを知らないわけではない。だが自分の中でカミングアウトするほどの踏ん切りがつかないのだ。黙って考えていると、そばでマスターと柊の話を聞いていたのりこが口を開いた。
「あのぉ、私思うことがあるんですけど」
「のりちゃん、なんだい?」
「まずはお二人で今後どうしていきたいかを考えてみては?」
〜おしらせ〜
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