マスターの言葉に納得した若松はシェリー・ブレンドを注文。コーヒーが来る間、若松の頭の中は岩下のことでいっぱいだった。
「お待たせしました。シェリー・ブレンドです」
「あ、ありがとうございます」
そしてシェリー・ブレンドを口に含んだそのとき、若松の頭の中である光景が広がっていた。
「えっ、な、なんで?」
「どうしましたか?どんな味がしたんですか?」
「あ、いやぁ。この前ここで飲んだときに見た、あの光景と全く同じものだったんです。青い海と青い空が広がる。そんな光景が頭に浮かんだんです」
「なるほど。あのときは今までにない広い世界へ飛び込んでみたい。そういう願望でしたよね」
「ってことは、岩下さんとのことでも同じって意味ですか?」
あらためてこれからの恋愛のことを考える若松。その会話の中でマスターはこれから若松がとるべき行動として、まず何から始めるべきかの答えを促していた。その答えを再びシェリー・ブレンドに頼る若松。
「そうか、勇気を持って一歩を踏み出す。それが必要なんだ」
そこまで気づきながらも、その一歩がなかなか踏み出せない若松であった。その様子にマスターもどうすればいいのかわからなくなってきたようである。
〜おしらせ〜
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