「正直なところ、もう辞めたいとは思ってます。理不尽な仕事ばかりで」
「だよねー。私も転職しようか考えてるの」
若松の言葉を聞いて、岩下も安心した。だからといって若松とまたこんなふうに会えるという保証はない。
「おまたせしました」
そのタイミングで料理が運ばれてきた。
「あ、きたきた。じゃぁ早速食べよっ。あ、すいません、小皿を二つもらえますか?」
岩下は運ばれてきた料理を半分ずつシェア。
「じゃぁ、いっただっきまーす」
ここからは恥ずかしげもなく口いっぱいに料理を頬張る岩下であった。
「若松くん、私のことをどんなふうに思ってくれたかな?」
その日、家に帰ってから自分の言動を振り返る岩下。あまりにも素の顔で接しちゃったから、呆れちゃったかもしれないな。でも、隠してもしょうがないから。こんな私だってことを見てくれたほうが気が楽だし。前向きに捉えなきゃ。そう思って床についた。
翌日、このことを話したくて岩下は営業の途中でカフェ・シェリーへと足を運んだ。
「こんにちはー」
「いらっしゃいませ。あ、昨日の。えっと、岩下さんでしたっけ?」
「はい」
「あ、その笑顔は食事を誘うのがうまくいったのかな?」
友達感覚で話しかけるのりこ。
〜おしらせ〜
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