このとき若松は一つ確実なことがわかった。それは自分の岩下に対しての気持ちである。
「でも、こんなボクじゃ岩下さんには釣り合わないよなぁ」
翌日、若松はカフェ・シェリーに来ていた。若松も岩下と同様、有給消化として会社を休んでいた。といっても何をするアテもないので、ついここに来てしまったのだ。
「若松さん、でしたよね。何かお悩みでも?」
マスターが落ち込んでいる若松の様子を見て語りかける。
「はぁ。会社はなんとか辞める方向に向いたんですけど。でも、岩下さんはバリバリのキャリアウーマンだし。今みたいな中途半端なボクなんて不釣り合いなんだろうなぁ」
若松の目はどこを見るというわけでもなく、ぼーっとしている。
「恋の悩みですか。そういうことなら、やはりシェリー・ブレンドに答えを聞いてみるのがいいですよ」
「シェリー・ブレンドに?」
「はい。今までも恋の悩みに対して多くの方がシェリー・ブレンドのおかげで何らかの解決に向かっていますから。ぜひお試し下さい」
「まぁ、今日はシェリー・ブレンドを飲もうとは思っていたから。じゃぁお願いします」
「かしこまりました」
その後も焦点の定まらない目で宙を見ている若松であった。
〜おしらせ〜
Cafe Shelly第1部、全120話のバックナンバーを一気に読むことができます
https://ncode.syosetu.com/s5786f/