「みちか、どうした?」
今度はちはるがみちかに言い寄った。
「あ、いやぁ、執着ってそういうことかって。あたい、先輩に執着してたんだなって、今思った」
「先輩って、あの新司の彼女のことか?」
「うん。あの先輩、いわゆるできる人だったんだよなぁ。で、あの人に負けたくないっていう思いが執着になって、そしてあの人を追い越すようなことばかり考え始めた。今思えば、仕事で追い越せばよかったのに、逆に先輩を蹴落とそうという事ばかり考え始めちゃった」
「なるほど、確かにそれは執着じゃの。自分がその先輩よりも上になりたくて、周りが見えなくなってしまったということか」
「うん、それで失敗しちゃってその病院を辞めなきゃいけなくなっちまったんだ」
「では、これからはどうするのかな?」
「どうするって…」
そのとき、ちはるがニヤリと笑ってあるものを指差した。みちかはその指差した方向に目をやる。それはみちかのコーヒーカップ。
「あ、なるほど、そうか」
ちはるの意図がわかり、みちかは早速カップを手に取る。つまりシェリー・ブレンドにその答えを聞けばいい、ということに気づいたのだ。
今度はコーヒーを飲むみちかの表情にみんなの視線が集まった。
〜おしらせ〜
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