「笑って過ごせばいいって、その方法がわからないから魔法のコーヒーを飲んだんじゃないのか?」
貴利の疑問ももっともだ。マスターやのりこも聡子の言葉の意味を知りたくて、三人で聡子をじっと見つめていた。
「だからぁ、朝から自分で笑ってればいいのよ。朝起きて一番に笑顔になる。歯を磨いているときも笑顔になる。料理をしているときも笑顔になる」
「料理って、いつもお惣菜じゃない」
ボソリとつぶやく貴利。
「そうやって自分に対してツッコミを入れられても笑顔で返す」
聡子はそう言って、わざとらしい笑顔を貴利に返した。貴利にとってはその笑顔のほうが今までより何倍も怖く感じてしまった。
「とにかく、どんなことがあっても、どんなことが起きても笑顔でいることを習慣づけること。だから礼子さんはいつも笑顔だったんだって。そのことをまた礼子さんが教えてくれたの」
「母が?」
マスターは自分の母親の名前が再び出てきたことで、聡子の言葉に親近感を湧かせた。
「そう。また私の頭の中で礼子さんが出てきたの。そして言ったのよ。いつも笑ってなさいって。最初、その意味がわからなくて困ったわ」
だから最初は渋い顔をしていたのか、と貴利は理解した。
〜おしらせ〜
Cafe Shelly第1部、全120話のバックナンバーを一気に読むことができます
https://ncode.syosetu.com/s5786f/