Cafe Shelly next 第9話 私のほうが その31 | 【小説】Cafe Shelly next

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喫茶店、Cafe Shelly。
ここで出される魔法のコーヒー、シェリー・ブレンド。
このコーヒーを飲んだ人は、今自分が欲しいと思っているものの味がする。
このコーヒーを飲むことにより、人生の転機が訪れる人がたくさんいる。

「お二人ともいい笑顔していますよ」

 

 今まで様子を見ていたのりこがそう声をかけた。

 

「ありがとうございます。なんだかとても気持ちがいいです。綺咲、これからもよろしくね」

 

「うん、あらためてよろしく」

 

 二人は握手を交わしてほほえみあった。

 

「ところで、このコーヒーってどうやって魔法がかかるようになるんですか?私もこんなコーヒーを淹れてみたいなぁ」

 

「あら、妃美子ってコーヒー淹れるの?私もコーヒーにはうるさいから、指導してあげるわよ。この前だって会社でお客様に淹れたコーヒーが好評でね。きみの淹れたコーヒーは特別に美味しいねって言われたのよ。だから妃美子にもコーヒーの淹れ方を教えてあげるね」

 

 言った先からコーヒーについてマウントをとりにくる綺咲。どうやら自分では気づいていないようだ。だが、妃美子はそんな綺咲をいじらしく見ている。

 

「これからゆっくりと、綺咲を教育していくしかないな」

 

 心のなかでそう思いながらも、にこやかに綺咲の話に耳を傾ける。

 

 カフェ・シェリーで過ぎていく時間。それはただの時間ではない。シェリー・ブレンドを飲み交わした人たちがたくさんの気づきを得て、新しい人生を歩んでいく。それがカフェ・シェリー。

 

<第9話 完>

 

〜おしらせ〜
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