「妃美子さん、すごいですね。そこまで人の心理を読めるなんて」
「いえ、すごいのはこのシェリー・ブレンドです。そんな答まで一瞬で引き出してくれるのですから。さらにすごいのは、こんな魔法のコーヒーを淹れてくれるマスターですよ。それこそ、まさに魔法使いじゃないですか」
「そう言われるとうれしいですね」
この二人の会話に、のりこが参入してきた。
「今のお二人の会話を聞いていると、マウント取りの逆だって感じましたよ。お互いにお互いを讃えあえる、そんな関係って傍から見ていても素晴らしいなって思います」
「そうなんですよ。私も本当なら綺咲とそんな関係でいたいんですけど。綺咲は人のことを褒めるっていうのをしないから」
「だったら、妃美子さんがまずは褒めてあげるのはいかがですか?」
「えっ、私から綺咲を褒める?」
のりこからそう言われて、妃美子はちょっと考え込んでしまった。
「そう言われると、私も綺咲のことを褒めるなんてしていなかった。だから綺咲はもっと自分のことを褒めてもらいたくて、自分のほうができる人間なんだぞってアピールするために、マウントを取りに行っている。そう言われるとそうだよなぁ…」
「じゃぁ、私から提案!」
〜おしらせ〜
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