Cafe Shelly next 第8話 神のご利益 その15 | 【小説】Cafe Shelly next

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喫茶店、Cafe Shelly。
ここで出される魔法のコーヒー、シェリー・ブレンド。
このコーヒーを飲んだ人は、今自分が欲しいと思っているものの味がする。
このコーヒーを飲むことにより、人生の転機が訪れる人がたくさんいる。

 マスターの言葉に、深雪は自分の答えが間違いではないことを自覚した。

 

「だから今は、事故に遭った麻祐子のために神様に祈ること。そういうことなんですね」

 

「はい。そして、そのために自分ができることを一生懸命やること。そうすると深雪さん自信にも神の御加護が降りてくると私は思っています」

 

「へぇ、マスターってそういう宗教にも詳しいんだね」

 

 隆史が意外そうな顔で言ってきた。

 

「まぁ、ルポライターなんていう仕事をしていると、いろいろな情報が入ってきますから。怪しい新興宗教を取材したこともありますよ。けれど、きちんとした仏教や神道の方々にもお話を聞いたこともあります。そういう中で私なりに神という存在を理解したんです」

 

「神の存在?」

 

 隆史がそう聞き返した。

 

「はい。そもそも神ってどこに存在しているかご存知ですか?」

 

「神様って言えば、天にいるに決まってるじゃないか」

 

 隆史は指を上に指してそう言った。

 

「では、天ってどこにあるのでしょうね」

 

「そりゃ、雲の上…って、そこは宇宙か。うぅん、やっぱり目に見えない世界になるのかなぁ」

 

「そもそも、神ってなんなのでしょうね?」

 

 マスターのその質問に、みんな腕を組んで考え始めた。

 

〜おしらせ〜
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