「友永さん、なんかやばそうな人が入ってきたっすね」
小声でそう言う信一を無視して、友永は立ち上がった。
「結城さん、今日はおいでいただきありがとうございます」
友永のその態度を見て、信一は驚いてしまった。
「ほら信一、挨拶をしないか」
あっけにとられている信一に挨拶を促す友永。
「は、はじめまして。こ、香坂信一です」
「これはこれは、この人が今度設計をしてくれるにいちゃんか。オレは三聖建設の結城ってんだ。よろしく頼むよ」
そう言いつつ結城は名刺を差し出す。信一も慌てて名刺を取り出して結城に渡す。
「さてと、今度うちが計画しているビルの設計、こいつに任せるっていうんだったよな」
「はい、香坂も張り切っていますので。設計の腕はピカイチと自分で申しておりますので」
「ちょ、ちょっと、友永さん」
急に自分が言っていたことを恥ずかしく思う信一。だが友永はそんなのお構いなしに信一をどんどん上げていこうとする。
「この香坂は海外でいろんな経験を積んでいます。もちろん建築に対してもしっかりとその技術を勉強してきているんですよ」
「ほう、そいつは頼もしいな。さぞかしすごいビルをつくってくれるんだろうなぁ。期待してるぜ、香坂さん」
〜おしらせ〜
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