これで社長の許可も降りた。大手を振って信一の指導を行うことができる。まさに鬼に金棒だ。さて、ひ弱な鬼をどうやって鍛えようか、友永の頭の中はそのことでいっぱいになった。
翌日、友永は早速行動開始。
「信一、ちょっといいか?」
「はい、なんっすか?」
出社早々、友永は信一を呼び出して会議室へと移った。
「今日からしばらくの間、俺が信一の指導を行うことになった」
「指導?何を今更。それよりもオレにちゃんとした仕事をくださいよ。いつまでも図面の修正係なんてつまんねーっすよ。ドーンと大きなビルを一つ任せてくれれば、友永さんよりも良い設計しますよ」
「ほう、なかなかの自信だな。まぁいい、お前にもっと社会の厳しさを知ってもらわないといけないからな」
「社会の厳しさ?何を言っているんっすか。何度も言っていますけど、オレは今まで海外でたくさんのことを経験してきたんっすよ。むしろ、オレから社会の厳しさを学んで欲しいくらいっすよ」
「そうか、そうだったな。じゃぁ信一先生に一つお願いしたい仕事があるんだが」
「どうせまた図面の修正でしょ?」
「いや、新しく取引を始めた建設会社からのビル建築の依頼の仕事だ。やってみる気はあるか?」
〜おしらせ〜
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