Cafe Shelly next 第7話 鬼と金棒 その7 | 【小説】Cafe Shelly next

【小説】Cafe Shelly next

喫茶店、Cafe Shelly。
ここで出される魔法のコーヒー、シェリー・ブレンド。
このコーヒーを飲んだ人は、今自分が欲しいと思っているものの味がする。
このコーヒーを飲むことにより、人生の転機が訪れる人がたくさんいる。

 二人は笑いながらそんな会話を続けた。

 

「じゃぁ、俺の味はどうなんだろう。最初は甘くてぬるい、けれどすぐに苦くて熱く感じる。これって何を意味するんだろうなぁ。俺が今欲しいもの、欲しいもの…」

 

「それこそ、友永は今甘くてぬるい夫婦生活ってのをやってるんじゃねーのかよ。あ、でもそれを苦くて熱くってのを望んでいるってことは、自分と同じように夫婦生活に刺激が欲しいとか?」

 

「いやいや、それはないな。夫婦生活は今のままで満足しているし。刺激が欲しいってほどじゃないよ。それよりも、刺激というかガツンという衝撃に近かった気がするなぁ」

 

「カツンという衝撃といえば、あいつのことじゃねーのか?」

 

「あいつ?」

 

「信一だよ。誰かあいつにガツンと言ってやらねーと、この先本当に使い物にならなくなっちまうだろう。あ、もう使い物になってねーか」

 

「確かにそのとおりだ。あ、そういうことか」

 

「そういうことかって、どういうことだ?」

 

「俺が飲んだコーヒーの味、これは信一のことだ。今あいつは甘くてぬるい態度をとっている。そいつをもっと厳しくして欲しい。ガツンと一発食らわして目を覚まして欲しい。その願望はあるな」

 

 友永は言いながら気づいた。

 

〜おしらせ〜
Cafe Shelly第1部、全120話のバックナンバーはこちらで読むことができます
https://ncode.syosetu.com/s5786f/