飯山さん、熱心にマスターの言葉に耳を傾けている。そして、当然ながらシェリー・ブレンドを注文する。一見すると当たり前の流れのように思えるけれど、飯山さんを観察すると何かが違う。
ここでわかった。飯山さん、必ず相手に対して興味関心を持っていることが伝わってくる。だから話す側も熱が入って語ってしまう。それが相手に対しての信頼貯金につながるんだ。
「飯山さん、今日はありがとう」
シェリー・ブレンドを飲んでマスターとも一通り話が終わって、私は飯山さんにお礼を伝えた。
「えっ、何、突然。こちらこそこんな素敵なお店に連れてきてもらってありがとう」
キョトンとしながらもそう言う飯山さん。
「私ね、飯山さんみたいになりたかったの。みんなから信頼されるような人に。そしてこのお店をさゆりさんから紹介されて、どうすればいいのかに気づいたの。今もシェリー・ブレンドを飲んで、飯山さんにお礼を言わなきゃって、そう感じたの」
「私みたいに?なんだか照れちゃうな。私こそ、さくらさんがうらやましいわ」
こんな一言が信頼貯金を高めてくれるんだ。私もまだまだだな。
これからもみんなの信頼貯金を高められるよう、もっと頑張っていかなきゃ。
<Cafe Shelly next 第5話 完>
〜おしらせ〜
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