Cafe Shelly next 第5話 貯金はいかほど? その12 | 【小説】Cafe Shelly next

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喫茶店、Cafe Shelly。
ここで出される魔法のコーヒー、シェリー・ブレンド。
このコーヒーを飲んだ人は、今自分が欲しいと思っているものの味がする。
このコーヒーを飲むことにより、人生の転機が訪れる人がたくさんいる。

「飯山さんにはね、貯金がいっぱいあるの」

 

「貯金?ほら見なさい、やっぱりみんなお金目当てじゃない」

 

「そうじゃなくて、私が言いたい貯金はお金のことじゃないのよ。『信頼貯金』のことなの」

 

「信頼貯金?何よ、それ?」

 

 さゆりさんの言いたいことがわからない。信頼貯金ってなんなのよ?

 

「飯山さんとさくらさんの大きな違いは二つあるの。まず、飯山さんって私達の言葉を否定せずにしっかりと受け止めてくれるよの。だから、なんでも飯山さんに話しちゃうのよね」

 

 否定せずに相手の言葉を受け止める。私はこれができていないのは自覚をしている。けれど、それが信頼につながるものなのかしら?

 

 ここで「でも」と言いそうになった。が、その言葉をぐっとこらえてさゆりさんの話の続きを聞くことにした。

 

「そして飯山さん、アドバイスは特にしないの。それがとてもいいのよ」

 

「アドバイスしないって、それがどうしていいのよ?」

 

 ここは思わず口を挟んでしまった。でも、アドバイスしない人間がどうして信頼を得ることができるのか、そこが不思議でならない。偉い人って、みんなに適切なアドバイスをするんじゃないの?

 

「私達はアドバイスが欲しくて話をするんじゃないのよ」

 

~おしらせ~
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