「…はい」
まみは下を向いてうなずくしかできなかった。果たしてシェリー・ブレンドは二人にどんなことを教えてくれるのだろうか。二人、同時にコーヒーを飲み、そして目をつぶる。
「お味はいかがでしたか?」
のりこが恐る恐る二人に尋ねてみる。最初に答えたのは洋貴であった。
「はい、飲んで感じたのは、今のままでいいんだってことです。まみさんにあったこと、これは過去のことですから。これからの未来は新しく作ればいいんです。だから、取り立ててオレが騒ぐ必要もない。うん、今のままでいいんです」
洋貴は自分自身に言い聞かせるようにそう言葉を発した。
「まみさんはいかがでしたか?」
「私は…」
まみは下を向いている。少し言いにくそうな感じである。少し間が空いて、顔を上げて再度言葉を発した。
「私は、新しい自分にならないといけない。そう感じました。シェリー・ブレンドが今まで感じたことのない味でしたから。つまり、過去の自分にとらわれず、新しい自分を作ることが今の私に求められているってことかな。そう感じたんです」
洋貴はその言葉を聞いて安心した。が、のりこはそうは感じなかった。
「まみさん、他にも感じたことがあるんじゃないですか?」
〜おしらせ〜
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