マスターのその言葉に、サトシは勇気づけられたようだ。
「はい、そのとおりです。困った困ったと言うだけでは、何も前には進みませんね。どうすればいいのか、きちんと正面からぶつかって考えていけば、解決策は見つかるものですね」
「そうだ、そういう場合にどう考えれば良い解決策が見つかるのか、その秘訣を教えますね」
この言葉に、サトシもまつ子も、そしてカウンターで聞き耳を立てているのりこも、さらにはさっき入ってきた常連のお客様も一斉にマスターを注目した。
「困ったを良かったにすればいいんです」
これだけでは何のことかわからない。マスターに注目したみんなは、まだ目を丸くしている。そして次に続くであろうマスターの言葉を待った。
「ははは、これだけじゃなんのことかわかりませんよね。実はこれ、前のマスターから教わったことなんですけど。人は困ったことがあると、困った、どうしようと慌ててしまい、この先起こるかもしれない悪いことばかり頭に浮かべてしまいます」
確かにそうだ、今回もそんなふうに考えていたな。サトシは心の中でそう思った。
「それよりも、最後には良かったって思える、みんなが笑顔になる結末を頭の中で創造するんです」
〜おしらせ〜
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