「まずは、私が謝罪をしました。こんなカメラで撮影をしようとしてしまい、申し訳ありませんでした、と。ここで言い訳を口にしがちなのですが、これをグッと我慢しました。そして、どうして店主さんがここまで写真にこだわるのか、その理由を尋ねてみたんです。そうしたらですね…」
「そうしたら?」
サトシもまつ子も、そしてのりこまでが身を乗り出してマスターの次の言葉を待っていたその時
カラン・コロン・カラン
ドアのカウベルが鳴り響いた。お客様の来店だ。
「いらっしゃいませ」
反射的にのりこがお客様を出迎えた。マスターも慌てて「いらっしゃいませ」の声を出す。
「すいませんが、続きはまた後ほど」
そう言ってマスターはカウンターへと戻ってしまった。
「うぅん、残念。この続きを聞かないと帰れませんねぇ」
「そうじゃな。それにしてもマスターは話が上手じゃのぉ。話に引き込まれてしまったわい。さて、サトシよ、店主はどういう理由を言ったと思うかな?」
まつ子の問いかけに、サトシは腕を組んで考えてみた。
「そうですねぇ。やはり料理の見栄えを良くしたいから、写真にこだわっているというのが普通の考え方ですよね。でもまだ他にも何かありそうだなぁ」
〜おしらせ〜
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