サトシは自分が悪いと言われるとは思ってもみなかったようだ。明らかに動揺している。だが、まつ子はサトシに対してこんな言葉を伝えた。
「お前さんの口癖、なんだかわかるかな?」
「えっ、私の口癖ですか?いやぁ、そんなのありましたっけ?」
「やはり自覚しておらんようじゃな。サトシさんよ、お前さんよく口にする言葉で『次は何をすればいいんですか?』というのがある。これは前々から気にはなっておったんじゃがのぉ」
「いやいや、だって次に何をすればいいのかわからないから、素直に質問をしているだけですよ。それの何が悪いんですか?」
「まぁお前さんがこのボランティアに入ったばかりだったら、それでよかったんじゃが。サトシさん、ここに入ってからどのくらい経つかな?」
「えっと、会社を退職してすぐだから、もう半年くらいになりますか」
「半年経って、まだ自分が何をすればいいのか、指示をされないとわからないのかな?」
「えっ、いや、それは…」
まつ子にそう言われて、サトシは言葉が出てこなかった。確かに自分は指示待ちのところがあるということを、あらためて自覚したようだ。
「桑原のやつは、お前さんのその点がとても気になっておるんじゃろう」
〜おしらせ〜
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