「…はい、たしかにまつ子さんの言うとおりです。今、私の頭の中はどうすれば桑原さんを追い出すことができるか。それしかなかった気がします。でも、桑原さんってどうしてあんなに自分勝手なんですか?まるでいじめを受けているような気がして仕方ないんです。あれでも元教育者なんですか?」
サトシは自分が受けている苦痛を他の人にもわかってほしい一心で、そういう言葉を吐いた。
「なんだかもめているようですね」
さすがに事態が穏やかではないと察知したのか、カウンターからマスターが出てきて会話に加わった。
「マスター…」
のりこが懇願するような目でマスターを見る。私にはこれ以上手に負えない、というSOSのサインでもある。そのサイン、マスターはきちんと受け止めてこくりとうなずいた。
「のりちゃん、次のお客様も来るだろうからモーニングの準備をお願いします」
「はい、わかりました。よろしくお願いします」
選手交代。ここから先はマスターのターンとなる。
「カウンターからおおよその事情は聞いていました。桑原さんって、背の高い眼鏡をかけた方ですよね」
「えぇ、ご存知なんですか?」
サトシはどうしてマスターが桑原を知っているのか不思議だった。
〜おしらせ〜
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