「予想もしなかった味でした。味というより、感覚かな。目の前に天使が現れた感じがしたんです」
「天使?」
のりこも予想もしなかった答えだったので、どう捉えてよいのかわからなかった。が、歩は天使という言葉に対して納得しているようだった。
「はい、天使です。まさにここは天国。そしてマスターやあなたが天使。ここに戻ってくれば、自分の思いに立ち返ることができる。そんな空間だっていうことを、このコーヒーが教えてくれたんです」
なるほど、そういうことか。のりこは納得したと同時に、ちょっと気恥ずかしさを感じていた。
「私とマスターが天使って、なんか嬉しい反面恥ずかしさもありますね」
「いやいや、本当にそうですよ。間違って地獄行きになる直前にボクを救ってくれた。本当にこのお店に感謝です。あらためてありがとうございました」
そうやって一礼をする歩。顔を上げた時、のりこは逆に歩に光を感じた。まさに歩こそが天使のような感じがしたのだ。
「田中さん、これからはご自身が私達と同じようになって下さい。田中さんのやり方で、多くの人を笑顔にしてあげてくださいね」
「はい、わかりました。これから頑張っていきます。じゃぁ、いってきます!」
〜おしらせ〜
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