Cafe Shelly next 第2話 私の仕事って その22 | 【小説】Cafe Shelly next

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喫茶店、Cafe Shelly。
ここで出される魔法のコーヒー、シェリー・ブレンド。
このコーヒーを飲んだ人は、今自分が欲しいと思っているものの味がする。
このコーヒーを飲むことにより、人生の転機が訪れる人がたくさんいる。

「どういう理由だと思ったんですか?」

 

「ボク、今まで仕事であえて人と会わないようにしていたんです。電話もしていませんでした。ほとんどがメールや専用チャットで文字だけで済ませていたんです。これはボクなりの配慮のつもりでした」

 

「配慮していたんですね」

 

「えぇ。だって言葉で言ってもなかなかわからないでしょうから。きちんと資料を送り、それに対して何度も見直しができるように文で送ったほうがいいかなと思って。でも、それって本当の意味でクライアントと接していないってことなんですよね。生の声を聞いて、相手の伝えたいことを理解して、その上でこちらがアドバイスをする。ボクはそれを怠っていた。これはクライアントだけじゃなく、会社に対しても同じでした」

 

「同じ、というと田中さんは会社の人達に対しても、メールやチャットで済ませていたってことですか?」

 

「えぇ、会議もわざわざ顔を出す必要もない。こちらが言いたいことを上司に社内チャットを使って伝え、会議で決まったことを同じように送ってくれればいい。そうやっていました。このテレワークをやることも、全部社内チャットでやりとりしてボクの意思表示をしていたんです。これが原因かぁ」

 

〜おしらせ〜
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