Cafe Shelly next 第2話 私の仕事って その3 | 【小説】Cafe Shelly next

【小説】Cafe Shelly next

喫茶店、Cafe Shelly。
ここで出される魔法のコーヒー、シェリー・ブレンド。
このコーヒーを飲んだ人は、今自分が欲しいと思っているものの味がする。
このコーヒーを飲むことにより、人生の転機が訪れる人がたくさんいる。

「あの人、ずっとパソコンを開いて何か仕事していますよね?」

 

「おそらくはノマドワーカーか、テレワーカーなんだろうなぁ」

 

 ノマドワーカーとは、特定の仕事場所を決めずに喫茶店やコワーキングスペースなどで仕事をする人のこと。テレワーカーは会社を離れて自宅などで仕事をする人のことをいう。

 

「私も昔はフリーのルポライターだったから、自宅以外で仕事をすることが多かったよ。パソコン一つあればどこででもできたからね」

 

「以前のマスターの仕事って、今だからこそ流行りのやり方だったんですね」

 

「ははは、流行りなんて感覚はなかったけれど。でも、ひょっとしたらあのお客様も同じようなものなのかもしれないな」

 

 そうやって会話をしながら、朝の支度が終わった頃に最初のお客様が訪れた。

 

「いらっしゃいませ」

 

 のりこのこの声から、カフェ・シェリーの一日がスタートした。

 

 ありがたいことに、のりこの日替わりサンドイッチのおかげでモーニングに来るお客様が増えた。なので朝のカフェ・シェリーの舞台裏はちょっとした戦争状態になっている。幸いなことに、ほとんどのお客様はこの時間にはシェリー・ブレンドを注文しないので、味の感想をゆっくり聞くことはない。

 

〜おしらせ〜
Cafe Shelly第1部、全120話のバックナンバーはこちらで読むことができます
https://ncode.syosetu.com/s5786f/