第119話 神の手 その28 | 【小説】Cafe Shelly next

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喫茶店、Cafe Shelly。
ここで出される魔法のコーヒー、シェリー・ブレンド。
このコーヒーを飲んだ人は、今自分が欲しいと思っているものの味がする。
このコーヒーを飲むことにより、人生の転機が訪れる人がたくさんいる。

 マスターはそう言うと、お店をぐるりと見回した。そうか、そうだよな。マスターの決断、これは大きな想いがあるはずだ。マスターの神の手で、今までたくさんのお客さんの幸せが生まれたに違いない。私もその中の一人だ。

 

 神の手を持つ者の使命がそこにある。それは人の幸せを願い、成就していくためのもの。そして、私は今日、その神の手を授かることができた。ということは、私にもその使命が生まれたということになる。

 

「マスター、今まで本当にお疲れさまでした。これからはご自分が進むべき新しい道を、思ったように進んでみて下さい」

 

「はい、ぜひそうさせていただきます。私が本来進むべき道をあらためて見出すことができたのも、靖雄さん、あなたのおかげです。そして、私が今まで築いてきたものを受け継いでくれる人ができて、本当によかった。この先、よろしくお願いします」

 

「はい、ありがとうございます。今までマスターが蓄積してきたものをしっかりと受け継ぎ、この店を守っていきます」

 

 そう、私がマスターから耳打ちされたことは、このお店を私が引き継いでいくことである。これからは私がこのカフェ・シェリーのマスターとなって、魔法のコーヒーを淹れるのだ。