「あなたには親としての気持ちがわからないの!?」
今度は元妻が彼氏に言い寄った。
「なんだよ、お前は俺と結婚したくないのか?」
やはり、こいつの本音はこれだったか。狙いは元妻であり、ヒロトのことはどうでもいいということか。こうなったら元妻とこいつを結婚させるわけにはいかない。このままだと元妻も不幸になってしまう。
「待てっ、ここで騒ぎ立てるのもなんだから落ち着け。そちらのことはヒロト抜きでゆっくりとかんがえてくれないか。ヒロトの前でそんな二人を見せるのもちょっと」
「お前には関係ない話だろう。元旦那だからといって、口出しをするなっ!」
「あぁ、たしかに関係のない話だ。夫婦ではないのだからな。けれど、ヒロトの母親ではある。だから、ヒロトのためにもゆっくりと考えてほしい。ともかく、今日は一旦解散したほうがいいんじゃないか。お互いに頭を冷やして考え直してみるといい」
「わかった、私はそうするわ。あなた、悪いけど今日はヒロトをあなたに預けていいかしら?ちょっと一人で考えてみたいの」
「わかった」
この会話の最中、ヒロトはずっと私に抱きついたままだった。子供としても、母親のあんな姿を見たくなかったのだろう。