第118話 父と子と その28 | 【小説】Cafe Shelly next

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喫茶店、Cafe Shelly。
ここで出される魔法のコーヒー、シェリー・ブレンド。
このコーヒーを飲んだ人は、今自分が欲しいと思っているものの味がする。
このコーヒーを飲むことにより、人生の転機が訪れる人がたくさんいる。

「あなたには親としての気持ちがわからないの!?」

 

 今度は元妻が彼氏に言い寄った。

 

「なんだよ、お前は俺と結婚したくないのか?」

 

 やはり、こいつの本音はこれだったか。狙いは元妻であり、ヒロトのことはどうでもいいということか。こうなったら元妻とこいつを結婚させるわけにはいかない。このままだと元妻も不幸になってしまう。

 

「待てっ、ここで騒ぎ立てるのもなんだから落ち着け。そちらのことはヒロト抜きでゆっくりとかんがえてくれないか。ヒロトの前でそんな二人を見せるのもちょっと」

 

「お前には関係ない話だろう。元旦那だからといって、口出しをするなっ!」

 

「あぁ、たしかに関係のない話だ。夫婦ではないのだからな。けれど、ヒロトの母親ではある。だから、ヒロトのためにもゆっくりと考えてほしい。ともかく、今日は一旦解散したほうがいいんじゃないか。お互いに頭を冷やして考え直してみるといい」

 

「わかった、私はそうするわ。あなた、悪いけど今日はヒロトをあなたに預けていいかしら?ちょっと一人で考えてみたいの」

 

「わかった」

 

 この会話の最中、ヒロトはずっと私に抱きついたままだった。子供としても、母親のあんな姿を見たくなかったのだろう。