第106話 笑う門には福来たる その30 | 【小説】Cafe Shelly next

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喫茶店、Cafe Shelly。
ここで出される魔法のコーヒー、シェリー・ブレンド。
このコーヒーを飲んだ人は、今自分が欲しいと思っているものの味がする。
このコーヒーを飲むことにより、人生の転機が訪れる人がたくさんいる。

 そうだ、彼女をあの喫茶店、カフェ・シェリーに連れて行こう。そしてあの男性や奥さんの話を聞いて、もっと仲を深めてみよう。

 

 思い立ったが吉日、オレは早速彼女に連絡を取り、次の休みでタイミングが合うときを聞いた。するとありがたいことに、次の土曜日が夜勤明けで休みになるとのこと。土曜日だったら午前中仕事をすれば午後は休めるな。

 

「ちょっと連れていきたいお店があるんだ。きっと気にいると思うよ」

 

「そうなんだ。楽しみにしてるね」

 

 こんなやりとりをして、いよいよ土曜日を迎えた。

 

「オレはこのお店のマスターに正月早々出会ったおかげで、君に出会うことができたんだよ」

 

「どんな人だろう?楽しみだな」

 

カラン・コロン・カラン

 

 扉を開く。すると前回と違って、今回はコーヒーの香りが体を包み込んでくれた。喫茶店に来たんだって感じがする。

 

「いらっしゃいませ。あ、この前の」

 

 先に気づいたのは奥さんの方。そしてあの男性がいるカウンターの方を向いたとき、これまた思わぬ言葉が彼女から飛び出した。

 

「あーっ、先生!」

 

 先生?どういうことだ?

 

「おー、ミキじゃないか。あれっ、二人は知り合いなの?」

 

 男性も彼女を知っているようだ。

 

「ねぇ、どういうこと?」